テルスター (曲)

テルスター (Telstar)

「テルスター」は、1962年にイングランドのバンド、ザ・トルネイドースがリリースしたインストゥルメンタル曲であり、ジョー・ミークによって作曲およびプロデュースが行われました。この楽曲は、当時の音楽シーンに革命をもたらし、全英シングルチャートでは首位を獲得し、さらに1962年12月にはアメリカのBillboard Hot 100でも同様に首位に立つ快挙を成し遂げました。これは、イギリスで録音された楽曲としては、同年の5月にリリースされた「白い渚のブルース」に次ぐ快挙であり、またアメリカとイギリスの両方で週間チャートの首位に躍り出た2曲目のインストゥルメンタル曲でもありました。

背景と制作

この曲のタイトルである「テルスター」は、1962年7月に打ち上げられた通信衛星に由来しています。ジョー・ミークが手がけたこの楽曲は、クラヴィオリンと呼ばれる鍵盤楽器や、類似の機器を使用して創り出された特徴的な電子音が特徴です。レコーディングは、ノース・ロンドンの小さなアパートに設けられたミークのスタジオで行われましたが、トルネイドースがバックバンドを務めていたビリー・フューリーのライブスケジュールの合間を縫って行なわれたため、一部の録音は後に行われることとなりました。リードのクラヴィオリンは、後日ジェフ・ゴダードによって録音され、ロジャー・ラヴァーンはバッキングとしてのピアノ演奏を担当しました。この曲はアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞し、多くの国で500万枚以上の売上を記録したとされています。

音楽的影響と評価

2007年、アッシュのティム・ウィーラーは、「テルスター」がSFの影響を受けた初期のポップトラッドの一例であり、「非常に未来的で、今でも奇妙に響く」と評価しました。彼は、ミューズの2006年のシングル「ナイツ・オブ・サイドニア」にも「テルスター」の影響が見られると述べ、ミューズのフロントマンがザ・トルネイドースのギタリストの息子であることを指摘しています。

訴訟の経緯

しかし、この楽曲の成功には影がありました。フランスの作曲家ジャン・レドルが、彼の映画『ナポレオン/アウステルリッツの戦い』のために書いた曲「La Marche d'Austerlitz」が盗作されたと主張し、ミークを訴えました。この訴訟により、ミークは存命中にレコードのロイヤルティを受け取れず、その裁定が下されたのは彼が自殺した後のことでした。このため、ミークは長らく不公平な扱いを受け、その後の評価や名声まで影響を及ぼしました。

商業的成功

「テルスター」はすぐにヒットし、全英シングルチャートに25週間ランクインし、そのうち5週間は首位に立ちました。また、アメリカのチャートにも16週間にわたり滞在しました。これは、イギリス出身のポップグループがアメリカで首位に立つ最初の例となり、第二次世界大戦後にイギリスのアーティストがアメリカのチャートで成功を収めた数少ない場合の一つでした。

クレジットとパーソナル

この楽曲に関与したアーティストには、クレム・カッティーニ（ドラムス）、アラン・キャディ（リードギター）、ロジャー・ラヴァーン（キーボード）、ジョージ・ベラミー（リズムギター）、ハインツ・バート（ベース）がいます。音楽プロデューサーのジョー・ミークが作曲とプロデュースを行い、ジェフ・ゴダードがクラヴィオリンを担当していました。

総括

「テルスター」は、その革新的なサウンドと商業的成功により、音楽史に残る名曲となりました。その影響は多くのアーティストによって受け継がれ、今でも新しい世代のミュージシャンにインスピレーションを与え続けています。マーガレット・サッチャー元首相が「テルスター」をお気に入りの曲として挙げたことも、その人気と影響力を象徴的に示しています。

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