テンビリオン

テンビリオンについて

テンビリオンは、1980年に任天堂が発表した樽型のパズル玩具で、デザインは横井軍平によるものです。この玩具は、透明なドラム部品が4つ連結され、その中にプランジャーが組み込まれた構造をしています。同時に、各ドラムにはさまざまな色の球が収められており、これらを使って複雑なパズルを解いていくことが求められます。

構造と機能

テンビリオンの基本的な特長は、ドーナツ状の部品が4つ組み合わさり、内部にプランジャーがある点です。黒い蓋の両端には3つの突起があり、これがドラムの回転や球の配置替えを容易にしています。内側の2つのドラムには、それぞれ球2個分のスペースが5か所、外側のドラムには球1個分のスペースが3か所あります。これにより、球を規則的に移動させて同色の球を列に並べるというアクションが行えます。

テンビリオンには、赤、オレンジ、黄、緑、青の5色と3個の黒球を含む23個の球があり、これらを使って様々な組み合わせを作り出すことが可能です。操作は、内側のドラムを回転させ、プランジャーを上下に動かすことで行います。特定の操作を繰り返すことで、最終的に目的である同色の列を形成することができるのです。

歴史的背景

1980年代初頭、世界はルービックキューブの熱狂に包まれていました。さまざまなメーカーが類似品を市場に投入していた中、任天堂は新たな試みとしてテンビリオンを開発。このパズルは、球を動かすという新しいコンセプトを取り入れており、ルービックキューブほどではないものの、一定の人気を博しました。

ドイツでは「Teufelstonne（悪魔の樽）」という名前で販売され、爆発的なヒットを記録。多くの類似品や解法書が販売されるまでのブームとなりました。しかし、日本国内ではルービックキューブブームの終焉とともに、テンビリオンも徐々に姿を消していきました。とはいえ、ファンたちは今でも愛好し、解法を探求したり、オンラインでの情報共有を行ったりしています。

名称の由来

「テンビリオン」という名前は、「100億通り以上の球配置が存在する」ということに由来しています。パッケージにもその旨が記載されていますが、実際には計算によると可能な配置の組み合わせは約4兆5000億通りにも上ることが判明しています。実際にこの数を把握していたのは、発案者の横井氏であったものの、彼自身もどれだけの組み合わせがあるかは具体的には理解していなかったようです。

関連製品

テンビリオンの人気に便乗して、任天堂はそのリメイク版「スターテンビリオン」を2007年に発表しました。これは、透明な球を用い、星型にデザインされた新しい形態の製品です。残念ながら2013年には生産終了が決まりました。
さらに「とびだせ どうぶつの森」や「メイド イン ワリオ ゴージャス」といった任天堂のゲームにも、テンビリオンが登場するなど、さまざまな形でその名は引き継がれています。

テンビリオンは、過去の人気から現在に至るまでの時を超えて愛され続け、玩具としてだけでなく、創造的な思考を刺激する存在としても評価されています。

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