テンプル (眼鏡)

テンプル (眼鏡)

眼鏡を構成する主要な部品の一つである「テンプル」は、眼鏡フレームから後方に伸び、顔の側面に沿って耳の上にかけることで眼鏡を安定させる棒状の部分です。一般的には「腕」「アーム」「ツル」とも呼ばれ、耳にかかる先端部分は特に「モダン」とも称されます。

概要と役割

テンプルの最も基本的な役割は、眼鏡を耳介（耳たぶや耳の後ろのくぼみ）でしっかりと支え、顔に固定することです。これにより、眼鏡がずり落ちたり、不安定になったりすることを防ぎます。

テンプルは耳の後ろやこめかみ部分など、顔の多くの部位に接触するため、その形状や素材、調整具合が掛け心地に大きく影響します。長時間の使用でも快適さを保つためには、顔の形や耳の位置に合わせてフィットする適切な長さやカーブが必要です。そのため、適度な強度による耐久性と、顔の動きや圧力に対して柔軟に対応できる弾力性が不可欠な部品と言えます。

眼鏡のフィッティング（調整）において、テンプルの長さや耳にかかる部分の角度、カーブなどを個々の顔に合わせて微調整することは、最高の掛け心地と安定性を実現するために非常に重要な工程となります。

主な種類

テンプルにはいくつかの代表的な形状や機能を持つ種類があります。

ストレートテンプル: 顔の側面に沿って比較的まっすぐに伸びるシンプルな形状のテンプルです。様々なデザインのフレームに用いられます。
スライド式伸縮テンプル: テンプルの長さを段階的、または無段階に調節できる機能を持つタイプです。使用者の顔のサイズに合わせてより細かくフィットさせることが可能です。
アンダーテンプル: 一般的なテンプルが耳の上側にかかるのに対し、耳の下側を回るように設計された特殊な形状のテンプルです。特定のデザインや機能を持つ眼鏡に使用されることがあります。
R形状テンプル: 耳の後ろのカーブに沿うように、比較的明確なR（円弧）の形状を描いたテンプルです。耳へのフィット感を高め、安定性を向上させることを目的としています。

これらの種類は、フレームのデザインや使用目的、求められるフィット感などに応じて選択されます。

近年の傾向とデザイン

近年、テンプルは機能性だけでなくデザイン性も眼鏡全体の印象を左右する重要な要素となっています。多様な素材やカラーリング、加工技術が用いられることで、そのバリエーションは格段に豊富になりました。

例えば、テンプルの外側はフレームに合わせてシンプルな単色でありながら、内側には鮮やかな模様やグラフィカルなデザイン、あるいはブランドロゴなどが施されたものが増えています。また、素材自体の質感（木目調、レザー調、マットな手触りなど）を活かしたものや、半透明やクリアな素材を使用して横顔に軽やかさや奥行きを与えるデザインも見られます。

これらの多様なデザインは、眼鏡を単なる視力矯正器具としてだけでなく、ファッションアイテムとして楽しむという現代の傾向を反映しています。テンプルの選択は、横顔の印象を大きく左右し、個性を表現する上で重要な要素となっています。

関連項目

眼鏡
モダン
ツル
フレーム

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