テームズ・アンド・ハドソン

テームズ・アンド・ハドソン：美術出版の老舗

テームズ・アンド・ハドソン（Thames & Hudson, T&H）は、1949年にヴァルターとエーファ・ノイラート夫妻によってイギリスで設立された出版社です。美術関連の出版物で広く知られており、その名はロンドンのテームズ川とニューヨークのハドソン川に由来します。2匹のイルカを象ったマークは、同社のトレードマークとして親しまれています。

特徴と展開

ロンドンに本社を構え、ニューヨーク（テームズ・アンド・ハドソンUSA）とパリにも拠点を展開しています。独立系の家族経営出版社として、考古学、建築、美術、装飾美術、デザイン、歴史、写真、宗教、精神世界など、多岐にわたるジャンルの書籍を出版しています。近年では、子ども向けの書籍も手掛けています。

競合としては、タッシェン、アベヴィル出版グループ、ハリー・N・エイブラムス、リッツオーリ出版などが挙げられます。

著名なシリーズ

テームズ・アンド・ハドソンを代表するシリーズには、「古代の民族（人々）と地域（土地）」や「世界の美術」があります。

古代の民族と地域

「古代の民族と地域」シリーズは、日本でも古くから注目されており、マイケル・コウ著『マヤ』初版（1966年）は、1975年に学生社から翻訳出版されました。その後、第6版も『古代マヤ文明』として2003年に創元社から刊行されています。このシリーズは、古代文明への深い理解を促すものとして、研究者や学生に広く読まれています。

絵画略史

マイケル・リービー（ロンドン・ナショナル・ギャラリー）による『絵画略史：ジョットからセザンヌまで』は、1962年の初版以来、ヨーロッパ美術史の古典的名著として知られています。イタリアにおける遠近法の出現から20世紀初頭の近代美術までを網羅し、ヨーロッパ美術史への入門書として、長年にわたり多くの読者に愛されています。

テームズ・アンド・ハドソンは、長年にわたり高品質な美術関連書籍を出版し、美術愛好家や研究者にとって欠かせない存在となっています。その出版物は、美術史の理解を深め、新たな発見をもたらすだけでなく、美しい装丁やデザインによって、所有する喜びも与えてくれます。

外部リンク

Official website
Thames & Hudson USA website

もう一度検索