デアデビル: ボーン・アゲイン

『デアデビル: ボーン・アゲイン』は、マーベル・コミックのヒーロー、デアデビルを題材とした、マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）に組み込まれるドラマシリーズです。かつてNetflixで展開された同名ドラマシリーズの直接的な続編として位置づけられており、制作はNetflixからディズニーへと移行しましたが、主要キャストは継続して出演しています。物語は前シリーズの結末から7年の時を経ており、登場人物たちの変化や成長が描かれます。

シリーズのショーランナーであるダリオ・スカルダペインは、前作への深い愛情が本作の基盤となっていることを明かしつつ、物語を7年先に進めることで、キャラクターたちが新たな段階に進む様子を描きたかったと述べています。この時間経過が、登場人物たちの現在の状況や関係性に大きな影響を与えています。

また、本作にホワイトタイガー役で出演しているカマル・デ・ロス・レイエス氏は、2023年12月24日に癌により逝去されており、本作が彼の遺作の一つとなっています。

ストーリー

前作でのデアデビル、キングピン、ブルズアイによる三つ巴の激しい衝突から7年。弁護士マット・マードックは、パートナーのフォギー・ネルソン、秘書のカレン・ペイジと共に「ネルソンマードック＆ペイジ法律事務所」を運営し、困窮する人々のために尽力する穏やかな日々を送っていました。しかし、ある出来事が彼らの平和な日常を打ち破ります。

馴染みの警察官の引退パーティーの最中、フォギーが保護していた証人の身に危険が迫ったとの連絡が入ります。マットはデアデビルとして現場に急行しますが、その隙を突いて、かつて偽のデアデビルとして街を混乱に陥れたベンジャミン・ポインデクスター、通称ブルズアイが事務所を襲撃。この悲劇的な襲撃により、マットにとってかけがえのない親友であるフォギーが命を落としてしまいます。

ブルズアイに対する激しい怒りに駆られたマットは、彼をビルの屋上から突き落とすという行動に出てしまいます。ブルズアイは一命を取り留めたものの、この一件でマットは自らに課していた「不殺の誓い」を破ってしまい、デアデビルとしての活動を一時的に辞め、事務所も閉鎖します。その後1年間はキルスティン・マクダフィーと共に新しい事務所で弁護士業を続けていましたが、街に現れた猟奇的な連続殺人鬼「ミューズ」が引き起こす混乱を目の当たりにし、街が再び救世主を求める声に応える形で、マットはデアデビルとして復帰する決意を固めます。

その頃、宿敵ウィルソン・フィスクは刑務所から出所し、再び裏社会での地盤を固め、遂にはニューヨーク市長に当選するという強大な権力を手に入れていました。市長となったフィスクは、汚職警官を集めた対自警団特別部隊「AVTF（アンチ・ヴィジランテ・タスクフォース）」を結成し、ニューヨークにおける全てのヒーロー活動を禁止する条例を制定。マットを含む自警活動を行う者たちを徹底的に排除しようと動き始めます。

AVTFに追われる身となったマットは、カレンの依頼を受けたパニッシャーことフランク・キャッスルの助けを得て危機を脱しますが、フランクはその後捕らえられてしまいます。フィスクの強大な力に対抗するため、マット、カレン、そして脱獄を果たしたフランクは協力し、ニューヨークの自警団を集めた新たなチームを結成しようと動き出します。

登場人物とキャスト

マット・マードック / デアデビル：昼は盲目の弁護士、夜はクライムファイター。前作の激闘でフィスクとある誓約を交わしている。フォギーを失った悲劇を経て一度は引退するが、街の危機に再び立ち上がる。
ウィルソン・フィスク / キングピン：ニューヨークの裏社会を牛耳る犯罪王であり、デアデビルの最大の宿敵。刑務所から出所後、市長に当選し、強大な公権力を手にデアデビルらを追い詰める。マットとはヴァネッサの秘密を巡る誓約がある。
カレン・ペイジ：マットとフォギーの親友であり、事務所の秘書。過去にはマットと恋愛関係にあった。ニューヨークを離れる時期もあったが、マットの危機を知り行動を起こし、共にフィスクに対抗するチーム結成を目指す。
フランクリン・“フォギー”・ネルソン：マットの大学時代からの親友で弁護士事務所の共同経営者。マットやカレンと共にフィスクと戦ってきたが、ポインデクスターの襲撃により非業の死を遂げる。
フランク・キャッスル / パニッシャー：重火器の扱いに長けた元海兵隊員で、法で裁けない犯罪者を抹殺する処刑人。カレンの依頼でマットと共闘し、その後捕らえられるが脱獄。
ベンジャミン・“デックス”・ポインデクスター / ブルズアイ：超人的な投擲・狙撃能力を持つ元FBIのサイコパス。前作で瀕死の重傷を負うも、金属骨格の移植により復活。フォギーを殺害したことでマットと再び激突し、逮捕されるが脱獄する。
ヴァネッサ・フィスク：フィスクの妻。夫の不在時には裏社会の均衡を保っていた。前作での犯罪行為をマットに握られているが、実はフォギー殺害の依頼主だったことが判明する。
ヘクター・アヤラ / ホワイトタイガー：魔法の力を持つお守りで戦うストリートヒーロー。マットの弁護で無罪となるも、パニッシャーの信者により殺害される。演じるカマル・デ・ロス・レイエス氏にとっては遺作となる。
* バスティアン・クーパー / ミューズ：死体と血液を用いて壁画アートを制作する猟奇殺人鬼。街を混乱に陥れ、マットがデアデビル復帰を決意するきっかけとなる。

その他、マットの新しいパートナーとなるキルスティン・マクダフィー、ミズ・マーベルの父親であるユスフ・カーン、上流階級の刀剣愛好家ジャック・デュケインなど、新たなキャラクターも登場します。

製作

『デアデビル: ボーン・アゲイン』は、2022年7月23日にサンディエゴ・コミコンで正式に発表されました。当初は全18話構成で、2024年春にDisney+での配信が予定されていました。しかし、制作途中の2023年9月下旬、マーベル・スタジオの幹部が完成済みの映像に満足せず、脚本・製作総指揮を務めていたマット・コーマンとクリス・オードを含む監督陣が一斉に解雇されるという事態が発生しました。さらに、全米映画俳優組合（SAG-AFTRA）のストライキにより、2023年6月中旬から撮影が中断されていました。

これらの影響により、配信開始日は延期され、2024年10月にニューヨーク・コミコンにて、アメリカでのDisney+配信が2025年3月4日、日本では翌3月5日になることが発表されました。大幅な制作体制の変更を経て、新たな形での完成が待たれます。

このシリーズは、かつてのファンにとって待望の続編であり、マット・マードックとウィルソン・フィスクの因縁の対決が、MCUの広がりの中でどのように描かれるのかに注目が集まっています。

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