ディキシー・ドレッグス

ディキシー・ドレッグス（Dixie Dregs）は、1970年代に結成されたアメリカのプログレッシブ・ロック・バンドです。彼らの音楽は、プログレッシブ・ロック、ジャズ・ロックを基調としつつ、サザン・ロックやブルーグラス、カントリーといったアメリカ南部の音楽的要素を巧みに取り入れている点が特徴です。その独特なサウンドは、インストゥルメンタル・ミュージックの新たな地平を切り開いたと言えるでしょう。

バンドの歴史

ディキシー・ドレッグスの起源は、フロリダ州のマイアミ大学音楽学校に在籍していた学生たちの出会いに遡ります。ギタリストのスティーヴ・モーズを中心に、ベーシストのアンディ・ウエスト、ドラマーのロッド・モーゲンスタイン、ヴァイオリニストのアレン・スローン、キーボーディストのフランク・ジョセフというメンバー構成で1974年に本格的な活動を開始しました。1975年には、自主制作アルバム『The Great Spectacular』をリリースし、その音楽性が徐々に注目を集めるようになります。

1978年には、キーボーディストがT・ラヴィッツに交代し、メジャー・レーベルのカプリコーン・レコードからファースト・アルバム『フリー・フォール』を発表。このアルバムを機に、彼らの名前はより広く知られるようになりました。1979年には、3作目のアルバム『ナイト・オブ・ザ・リヴィング・ドレッグス』をリリースし、1980年のグラミー賞では最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされるという快挙を達成しました。しかし、所属していたカプリコーン・レコードの倒産により、アリスタ・レコードへ移籍。この際、バンド名をザ・ドレッグスと改名しています。

1982年にアルバム『インダストリー・スタンダード』をリリースした後、バンドは一時活動を休止しますが、1980年代後半には再びディキシー・ドレッグスとして活動を再開しました。

メンバーの活動

バンドのメンバーは、それぞれのソロ活動も活発に行っています。スティーヴ・モーズは、ディープ・パープルに加入し、その卓越したギターテクニックを披露しています。ロッド・モーゲンスタインは、ウインガーのドラマーとして活躍。T・ラヴィッツは、グレイトフル・デッドの楽曲をインストゥルメンタルで演奏するユニット、Jazz is Deadを結成し、新たな音楽の可能性を追求しています。

過去には、マハヴィシュヌ・オーケストラのジェリー・グッドマンがヴァイオリニストとして、また、スティーヴ・モーズ・バンドやジョー・サトリアーニのバンドで知られるデイヴ・ラルーがベーシストとして参加していた時期もありました。

2018年には、オリジナル・メンバーが再集結し、ライブ・ツアーを開催。往年のファンを歓喜させました。

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

The Great Spectacular (1976年)
フリー・フォール - Free Fall (1977年)
ホワット・イフ - What If (1978年)
ナイト・オブ・ザ・リヴィング・ドレッグス - Night of the Living Dregs (1979年)
ドレッグス・オブ・ジ・アース - Dregs of the Earth (1980年)
アンサング・ヒーローズ - Unsung Heroes (1981年) ※ザ・ドレッグス名義
インダストリー・スタンダード - Industry Standard (1982年) ※ザ・ドレッグス名義
Off the Record (1988年)
Full Circle (1994年)

ライブ・アルバム

ブリング・エム・バック・アライヴ - Bring 'Em Back Alive (1992年)
キング・ビスケット・ライヴ - King Biscuit Flower Hour Presents (1997年)
California Screamin' (2000年)
From the Front Row... Live! (2003年) ※DVD-A

コンピレーション・アルバム

Best of the Dixie Dregs (1987年)
The Best of the Dregs: Divided We Stand (1989年)
20th Century Masters: The Best of the Dixie Dregs (2002年)

ディキシー・ドレッグスは、その卓越した演奏技術と独創的な音楽性で、プログレッシブ・ロックの歴史に名を刻むバンドとして、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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