ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム

マーズ・ヴォルタ『ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム』

『ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム』（De-Loused in the Comatorium）は、アメリカのプログレッシブ・ロックバンド、マーズ・ヴォルタが2003年に発表した記念すべき初のスタジオ・アルバムです。2002年のライヴEP『トレミュラント』に続く作品としてリリースされました。

背景

本作は単なるアルバムではなく、一つの壮大な物語が展開されるコンセプト・アルバムとして制作されました。その物語は、オマー・ロドリゲス・ロペスとセドリック・ビクスラー・ザヴァラの友人であり、1996年に悲劇的な自殺を遂げたフリオ・ヴェネガスに捧げられています。アルバム全体を通して、彼の魂への鎮魂歌、そして生と死、現実と夢といったテーマが深く掘り下げられています。

音楽面では、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが全編に渡ってベースを担当し、その卓越した演奏でアルバムに貢献しています。さらに、同じくレッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテも「サイカトリズ E.S.P.」のレコーディングにギタリスト、シンセサイザーとして参加し、楽曲に彩りを加えています。マーズ・ヴォルタは本作のリリース前に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのヨーロッパ・ツアーでオープニングアクトを務めており、フリーはマーズ・ヴォルタを「これまで一緒にプレイしてきた中で最高のバンド」「圧倒された」と絶賛しています。

しかし、本作の制作とリリースを巡っては、悲しい出来事もありました。2003年5月15日、オリジナル・メンバーの一人であるジェレミー・マイケル・ワードが薬物のオーバードースにより死去。結果的に、本作はワードが参加した最後のアルバムとなりました。

反響と評価

『ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム』は、アメリカのBillboard 200で39位にランクイン。また、全英アルバムチャートでは43位を記録しています。シングルカットされた楽曲も、「イナーシアティック E.S.P.」が全英シングルチャートで42位、「テレヴェイターズ」が41位に達するなど、一定の商業的成功を収めました。

特に収録曲「ドランクシップ・オブ・ランタンズ」は、その革新的なギターワークが高く評価され、『ローリング・ストーン』誌が2008年に選出した「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソング100」で91位にランクインしています。

収録曲

1. ソン・エ・リュミエル - "Son et Lumière" - 1:35
2. イナーシアティック E.S.P. - "Inertiatic ESP" - 4:23
3. ルーレット・デアーズ - "Roulette Dares (The Haunt of)" - 7:30
4. ティラ メ・ア・ラス・アラーニャス - "Tira Me a las Arañas" - 1:28
5. ドランクシップ・オブ・ランタンズ - "Drunkship of Lanterns" - 7:05
6. イライアタルカ - "Eriatarka" - 6:20
7. サイカトリズ E.S.P. - "Cicatriz ESP" - 12:28
8. ディス・アパラタス・マスト・ビー・アンアースト - "This Apparatus Must Be Unearthed" - 4:57
9. テレヴェイターズ - "Televators" - 6:18
10. テイク・ザ・ヴェール・サーピン・タクスト - "Take the Veil Cerpin Taxt" - 8:44
11. アンビュレッツ - "Ambuletz" - 7:03 (ボーナス・トラック)

参加ミュージシャン

オマー・ロドリゲス・ロペス - ギター
セドリック・ビクスラー・ザヴァラ - ボーカル
アイザイア・アイキー・オーウェンズ - キーボード
フリー - ベース
ジョン・セオドア - ドラムス
ジェレミー・マイケル・ワード - エフェクト、サウンド・マニピレーション

アディショナル・ミュージシャン

レニー・カストロ - パーカッション
ジョン・フルシアンテ - ギター、シンセサイザー(#7)
* ジャスティン・メルダル＝ジョンセン - スタンド・アップ・ベース(#9)

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