ディラン&ザ・デッド

『ディラン＆ザ・デッド』は、1989年にリリースされたボブ・ディランとグレイトフル・デッドという、アメリカを代表する二大アーティストによる歴史的なコラボレーション・ライブアルバムです。このアルバムは、1987年に行われた両者の共演スタジアムツアー「Alone & Together」の模様を収録したもので、それぞれのファンにとって長らく待望されていた作品となりました。

収録された楽曲は、ボブ・ディランの代表曲を中心に構成されています。アルバムは、1987年7月4日マサチューセッツ州フォックスボロのサリヴァン・スタジアムでの演奏を捉えた「スロー・トレイン」で幕を開けます。ディランの力強いボーカルと、グレイトフル・デッドのジャムセッションが融合した、ライブならではの熱気が伝わってきます。続けて、「アイ・ウォント・ユー」は7月24日カリフォルニア州オークランドのオークランド・コロシアムでの演奏で、ディランの繊細な歌声とデッドの演奏が絶妙に絡み合います。「ガッタ・サーヴ・サムバディ」は7月26日カリフォルニア州アナハイムのアナハイム・スタジアムでのパフォーマンスで、ディランのメッセージ性の強い歌詞が、デッドのグルーヴィーな演奏によってさらに引き立てられています。7月19日オレゴン州ユージンのAutzen スタジアムでの「クイーン・ジェーン」では、ディランの独特な詩の世界観が、デッドの演奏によって新たな解釈が加えられています。

「ジョーイ」は、ディランとジャック・レヴィの共作で、7月4日マサチューセッツ州フォックスボロのサリヴァン・スタジアムで演奏されました。この曲は、ディランのストーリーテリング能力が際立つ楽曲で、デッドの演奏が物語をよりドラマティックに彩ります。そして、「見張塔からずっと」は、7月26日カリフォルニア州アナハイムのアナハイム・スタジアムでの演奏で、ディランの歌とデッドの演奏が一体となり、この曲に新たな命を吹き込んでいます。アルバムの最後を飾る「天国への扉」も、同じく7月26日アナハイムでの演奏で、観客との一体感が感じられる感動的なパフォーマンスです。

このアルバムは、単なるライブ音源というだけでなく、ボブ・ディランとグレイトフル・デッドという、それぞれが独自の音楽世界を持つアーティスト同士が、互いの音楽性を尊重し、融合させた奇跡的な瞬間を捉えたドキュメントと言えるでしょう。ディランの楽曲を、デッドがどのように解釈し、演奏しているのか、また、ディランの歌声とデッドの演奏がどのように一体となるのか、その両方を堪能できます。それぞれのファンはもちろん、ロック音楽ファンにとっても必聴の価値があると言えるでしょう。

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