ディヴァン (家具)

ディヴァンは、もともと背もたれや肘掛けを持たないソファの一種で、少し高くなった床に置かれたマットレスのようなものでした。部屋の壁際や隅に配置されることが一般的でした。

語源はペルシャ語に遡り、アラビア語、トルコ語を経てヨーロッパに伝わりました。オスマン帝国では広く用いられ、18世紀にはヨーロッパにもたらされ、流行しました。ヨーロッパに伝わる過程で、形状にも若干の変化が見られました。

精神分析医であるジークムント・フロイトが、患者を診察する際に使用したことでも知られています。フロイトはディヴァンに患者を横たわらせ、自由連想法を用いて精神分析を行いました。このため、ディヴァンは精神分析の象徴的なイメージとしても知られています。

興味深いことに、同じペルシャ語を起源とする言葉に、個人の詩集を意味する「ディヴァン」があります。また、ペルシャやアラブの国では、「庁」や「局」、あるいはその長官を意味する「ディヴァン」という言葉も存在しました。これは、長官の事務所には多くの書類が保管され、ディヴァンのような家具が置かれていたことに由来すると考えられています。

このように、ディヴァンは単なる家具としてだけでなく、文化的な背景や歴史的な意味合いを持つ言葉としても捉えることができます。

参照項目

椅子

外部リンク

Merriam-Webster's Dictionary Online: divan

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