ディヴィジオーネ・ナツィオナーレ 1945-1946

イタリアサッカーリーグの長い歴史において、1898年の創設から数えて44回目にあたるトップカテゴリーのシーズンが「ディヴィジオーネ・ナツィオナーレ 1945-1946」です。第二次世界大戦が終結し、国が復興へと向かう困難な時期に開催されたこのシーズンは、戦後初の全国選手権として特別な意味合いを持ちます。

この大会の大きな特徴として、従来の単一リーグ制であるセリエAの形式が、戦争によるインフラへのダメージや移動の制約などから実現困難であったことが挙げられます。そのため、リーグは地理的に大きく北部と中南部の二つのブロックに分けられ、それぞれの地域内で予選リーグが行われました。この地域別予選を勝ち抜いた上位チームが、最終的にイタリアのトップクラブの栄冠を競うための決勝ラウンドに進出するという、変則的なレギュレーションが採用されました。

また、この1945-46シーズンは、後にイタリア国民に広く親しまれるようになる公営のサッカーくじ、通称「トトカルチョ」が初めて導入された記念すべきシーズンとしても歴史に名を刻んでいます。単なるスポーツイベントとしてだけでなく、国民の娯楽や復興資金の一部を担う新たな仕組みが始まった画期的な出来事でした。

シーズンの行方ですが、激しい戦いを経て決勝ラウンドへと進出したチームの中で頂点に立ったのは、戦争による中断前の1942-43シーズンでセリエAを制していたトリノでした。彼らはこの勝利により、クラブ史上通算3度目となる優勝を達成し、同時に第二次世界大戦後、イタリアサッカー界に初めてもたらされたスクデット獲得チームとなりました。これは、戦時下の困難を乗り越え、再びイタリアサッカーが動き出したことを象徴する出来事と言えるでしょう。

個人記録としては、優勝チームであるトリノに所属していたフォワード、エウセビオ・カスティリャーノ選手が、決勝ラウンドにおいて見事な得点能力を発揮し、得点王のタイトルを獲得しました。彼の活躍もまた、この特別なシーズンを彩る重要な要素の一つです。

このシーズンの詳細な記録や、各地域の予選リーグ、決勝ラウンドの結果などについては、信頼できる情報源として知られるRSSSFのデータや、フランコ・チェレッティ氏の著作『セリエAの20世紀』といった歴史的な資料に詳しい記述が見られます。これらの出典は、当時のイタリアサッカーの状況や、この変則的な大会形式で行われた戦いの記録を現在に伝えています。

ディヴィジオーネ・ナツィオナーレ 1945-1946シーズンは、第二次世界大戦からの復興という困難な時代背景の中で開催された、イタリアサッカー史において独特かつ重要な位置を占める大会であり、その形式やトトカルチョの開始といったエピソードを含め、記憶されるべきシーズンです。

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