ディーセント・ワーク

ディーセント・ワークの概要

ディーセント・ワーク（decent work）とは、働きがいのある人間らしい仕事を指し、2009年に国際労働機関（ILO）の総会で提案され、21世紀におけるILOの主要な目標として支持を得た概念です。英語の「decent」は「きちんとした」「適正な」という意味があり、まさに、人が尊厳を持って生活できる仕事の条件を示しています。この概念は、2006年に国際連合経済社会理事会が出した所見によって、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第7条に「公正で好ましい条件での仕事」と解釈されることが示されています。さらに、2011年に採択された家庭内労働者に関する国際労働条約第189号には、ディーセント・ワークが明記されています。

ディーセント・ワークの内容

ディーセント・ワークは、持続的に人間らしい生活を送るための労働条件を指します。具体的には、次のような要素が求められます。まず、直接的な労働条件としては、

• - 労働時間（1日及び1週間あたりの労働時間）
• - 賃金
• - 休日日数
• - 労働内容が挙げられます。

これらは、労働者の尊厳や健康を損なうことなく、安定した生活を確保する上で重要です。また、ディーセント・ワークを実現するためには、結社の自由や団体交渉権、失業保険、十分な雇用機会、雇用差別の廃止、最低[[賃金]]の保障などの労働条件も必要です。これにより、直接的な労働条件が改善され、持続されることが期待されます。

両者の条件が満たされることで、ディーセント・ワークが現実のものとなります。国際労働機関は、これらの標準を具体的な条約や勧告として策定しており、その実施状況を監視しています。この過程で、多くの条約はすでに国際的に承認されていますが、日本では依然として批准されていないものも多いです。

日本における労働条件の現状

日本においては、ディーセント・ワークの実現が課題となっています。たとえば、労働基準法第36条に基づく36協定には、実質的に労働時間の上限が設定されていないため、労働者は長時間働くことが強いられる場合があります。また、日本の最低[[賃金]]は他の先進国に比べて低い水準にあり、有給休暇の未取得者も多く見られます。さらに、派遣労働のように不安定で差別的な雇用形態も存在し、これがディーセント・ワークの実現を妨げています。

持続可能な開発目標との関連

ディーセント・ワークは、持続可能な開発目標（SDGs）の一環としても位置づけられており、持続可能な経済成長を促進するために欠かせない要素とされています。持続可能な社会を実現するためには、全ての人にとって働きがいのある、人間らしい労働環境を整えることが不可欠です。国際的な取り組みとともに、各国がこの課題にどう向き合うかが問われています。

このように、ディーセント・ワークは現代社会において非常に重要な概念であり、労働者が尊厳を保ちながら生活できる環境を確立するために、さらなる努力が必要とされています。

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