デイヴィッド・サンボーン

デイヴィッド・サンボーン：ジャズ・フュージョン界の巨星、その生涯と音楽

デイヴィッド・サンボーン（David William Sanborn、1945年7月30日 - 2024年5月12日）は、アメリカ合衆国出身のサックス奏者であり、ジャズ・フュージョン界において、その名を広く知られています。彼の演奏は、特にスムーズ・ジャズの分野に大きな影響を与え、多くのファンを魅了しました。

生い立ちと音楽との出会い

1945年、フロリダ州タンパで生を受けたサンボーンは、幼少期にセントルイスへと移り住みました。幼い頃に小児麻痺を患ったことが、彼の音楽人生の幕開けとなります。医師からリハビリの一環としてサックスを勧められたことがきっかけで、音楽の世界に足を踏み入れました。ブルースやジャズに触れる中で、その才能を開花させ、10代半ばには早くもアルバート・キングと共演するほどの腕前となりました。

プロとしてのキャリア

サンボーンは、数多くのミュージシャンとのセッションを重ね、ブレッカー・ブラザーズでの活動を経て、1975年にワーナー・ブラザース・レコードと契約。アルバム『テイキング・オフ』でデビューを果たしました。1978年には、ピアニストの深町純が中心となって結成された「ニューヨーク・オールスターズ」に参加し、マイク・マイニエリ、ブレッカー・ブラザーズ、スティーヴ・ガッド、リチャード・ティーら、錚々たるメンバーと共演しました。

1980年代に入ると、その活動はさらに広がりを見せます。1983年には、ローリング・ストーンズのアルバム『アンダーカヴァー』に収録された「プリティ・ビート・アップ」にゲスト参加。1987年には、エリック・クラプトンらと共に、映画「リーサル・ウェポン」のサウンドトラックに参加しました。また、1988年には映画「テキーラ・サンライズ」のサウンドトラックで、デイヴ・グルーシンと共演しています。

1991年にエレクトラ・レコードへ移籍後、2003年にはヴァーヴ・レコード、2008年にはデッカ・レコード (US)へと活動の場を移しました。

晩年と逝去

2024年5月12日、デイヴィッド・サンボーンは前立腺がんによる合併症のため、ニューヨーク州タリータウンで78歳で逝去しました。彼の音楽は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

音楽的な特徴と評価

サンボーンの演奏は、ユニークで渋みのあるファンキーなスタイルが特徴です。特に、歌うように奏でる音色は「泣きのサンボーン」と称され、多くの聴衆の心を捉えました。その卓越した演奏技術と音楽性は、ジャズ・フュージョン界に多大な影響を与え、数々の賞を受賞しています。

ディスコグラフィー（主要なリーダー作品）

『テイキング・オフ』 - Taking Off (1975年)
『メロー・サンボーン』 - David Sanborn (1976年)
『流麗なる誓い』 - Promise Me the Moon (1977年)
『ハート・トゥ・ハート』 - Heart to Heart (1978年)
『ハイダウェイ』 - Hideaway (1979年)
『夢魔』 - Voyeur (1980年)
『ささやくシルエット』 - As We Speak (1981年)
『バックストリート』 - Backstreet (1983年)
『ストレイト・トゥ・ザ・ハート（ライヴ！）』 - Straight to the Heart (1984年)
『ダブル・ヴィジョン』 - Double Vision (1986年) - ボブ・ジェームスと共同名義
『チェンジ・オブ・ハート』 - A Change of Heart (1987年)
『クローズ・アップ』 - Close-Up (1988年)

受賞歴

グラミー賞（最優秀ジャズ・フュージョン・パフォーマンス）：『ストレイト・トゥ・ザ・ハート』 (1984年)、『ダブル・ヴィジョン』 (1986年)
グラミー賞（最優秀コンテンポラリー・ジャズ・パフォーマンス）：『インサイド』(1999年)

デイヴィッド・サンボーンは、その革新的な音楽性と卓越した演奏技術によって、ジャズ・フュージョン界に多大な貢献をしました。彼の音楽は、これからも世代を超えて愛され続けることでしょう。

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