デイヴィッド・ハートリー

デイヴィッド・ハートリーの生涯と業績

デイヴィッド・ハートリーは1705年8月8日にイギリスのヨークシャー州ハリファクスで誕生しました。彼は幼少期に両親を失い、ブラッドフォード・グラマー・スクールとケンブリッジのジーザス・カレッジで教育を受けます。1772年にはケンブリッジのフェローに選出されました。彼は最初、イングランド国教会の聖職者になることを望んでいましたが、教義に関する疑問から、最終的には医学の道に進むことになります。ただし、聖職者や社会との関係を重んじ、教会や市民社会に対する責任を感じていました。

ハートリーは1730年にアリス・ローリーと結婚しますが、彼女は子供の誕生の翌年に亡くなります。その後、1735年にエリザベス・パッカーと再婚し、2人の子供を授かります。彼は内科医としてニュアーク、ベリー・セント・エドマンズ、ロンドン、そしてバースで活躍し、1757年にバースで亡くなります。また、ハートリーは菜食主義者であったことも知られています。

主な業績

『人間論』

ハートリーの代表作『人間論』（1749年）は、彼の思想の核をなす著作です。この作品は二部構成となっており、第一部では肉体と精神の関係、第二部では人間の義務と宗教的期待について論じられています。特に、ハートリーは神の存在や聖書の権威、救済の条件など、キリスト教護教論に対して自らの考察を行っています。

この著作はハートリーの理論が広まるきっかけとなり、彼の友人であるジョセフ・プリーストリーが1775年に編集版を出版し、ユニテリアニズムのコミュニティに影響を与えました。

理論と方法

ハートリーの哲学の基盤は、彼の「振動説」と「観念連合説」にあります。振動説は、ニュートンのエーテルの概念を用いて生理学的な現象を説明し、神経活動と感覚との関連を強調するものでした。観念連合説は、ロックの心理学を基にした理論で、人間の精神は感覚を基に形成され、また感覚同士の結びつきによって新たな観念が生まれることを主張しています。

ハートリーは、肉体と精神の関係を解明するために「分析と総合」の方法を採用し、両者を結びつけることを目指しました。彼は、科学的根拠をもって精神と肉体の法則を明らかにすることが重要であると考えました。

自由意志について

ハートリーは自由意志についても独自の見解を持っており、彼の理論は決定論的な側面を含みつつ、ある種の自由意志を認めています。彼は、個人が環境の影響を受けて行動しながらも、各自の意識が高まることで、道徳的義務や宗教的期待が生まれると考えました。これにより、ハートリーは精神と肉体の二元論を一つの理論体系として描こうとしました。

著作一覧

ハートリーの業績には他にもいくつかの著作があり、自身の理論を展開しています。中でも重要なものには、次のような著作があります。

• - 『An Introduction towards an Essay on the Origin of the Passions』(1741)
• - 『Various Conjectures on the Perception, Motion, and Generation of Ideas』(1959)
• - 『Observations on Man, his Frame, his Duty, and his Expectations』(2013)

結論

デイヴィッド・ハートリーは、観念連合心理学の創始者として、また肉体と精神を結びつける理論を展開した哲学者として、心理学と哲学の歴史において重要な役割を果たしました。彼の理論は、その後の多くの思想家に影響を与え、現代心理学の基盤を形作る一助となったのです。

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