デジタル認証アプリ

デジタル認証アプリについて

デジタル認証アプリは、デジタル庁が開発したスマートフォン向けのアプリケーションで、官民を問わず様々なサービスでの本人確認を効率的に行うことを目的としています。このアプリを利用することで、サービス提供者は本人確認のプロセスを外部に委ねることができ、より本業に集中することが可能になります。この仕組みは、特にマイナンバーカードと連携した認証機能を用いて、ユーザーを迅速かつ安全に確認する手段を提供します。

特徴

デジタル認証アプリは、他のアプリやサービスから呼び出されて利用されるため、単独での操作を想定していません。利用者証明用電子証明書を基にした本人確認が実施され、特に公共サービスにおいて信頼性が高いとされています。民間の公的個人認証サービスに対しても対応は行われていますが、公共サービスに特化した内容となっています。認証に使用する技術は、業界で標準化されているOpenID ConnectおよびOAuth 2.0を採用しており、将来的にはマイナポータルアプリとの統合も計画されています。

経緯

デジタル認証アプリは2023年3月22日に初めてその構想が発表され、同年3月30日のデジタル庁の活動報告会見で正式に発表されました。その後、6月9日には閣議決定されたデジタル社会に向けた計画にアプリの開発が盛り込まれ、当初は2024年4月のサービス開始が予定されていましたが、プライバシーに関する懸念から一時的に導入が延期されることとなりました。

プライバシーリスクとその対策

このアプリの利用には、個人情報がデジタル庁のシステムに集約されることでプライバシーリスクがあることから懸念される声も上がっています。しかし、デジタル庁はそのシステムが保持するのは「電子証明書発行番号、事業者別リンクコード、認証状況」といった情報で、氏名や住所、性別といった個人情報は保存しないと説明しています。また、2024年6月のリリース時には、認証結果情報が1時間以内に削除されることもアナウンスされています。このアプリは本人確認の機能に特化しており、サービスIDとのリンクは行わないため、プライバシーの保護に配慮されています。

政令改正とアプリのリリース

デジタル庁はデジタル認証アプリ導入に向けて、2024年1月26日から2月29日までの間に政令改正に関する意見募集を行った。改正施行は3月を予定していましたが、プライバシーリスクの懸念から延期されました。そして、6月12日には正式に政令改正が施行され、ついに6月24日にデジタル認証アプリがリリースされました。リリース後わずか3か月、2024年9月24日時点で、200以上のサービスプロバイダーからのお問い合わせがあり、50社以上が利用を申し込んでいます。

デジタル認証アプリの利用例

デジタル認証アプリは、公共サービスにおいて横浜市の「パマトコ」や東かがわ市公式アプリ、愛知県一宮市の「イチ・デジ」などで利用が始まっています。また、民間でも三菱UFJ銀行の「スマート口座開設」や近畿大学、playgroundの「MOALA」などのサービスにも対応しています。さらに、サイバートラストやTISなどの企業が提供する汎用プラットフォームもあり、これを基にしたサービスの展開が期待されています。

システム障害

2024年6月27日には、デジタル認証アプリが一時利用できなくなるシステム障害が発生しました。音声時間は13:40から翌日の3:19までの間であり、利用者に影響を及ぼしました。

まとめ

デジタル認証アプリは、国が推進するデジタル社会において重要な役割を果たしており、本人確認の手続を簡素化することで様々なサービスの利用を促進することを目指しています。今後の展開や利用拡大が期待される中、プライバシー対策にも注視しながら、デジタルサービスの信頼性向上が進むことでしょう。

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