デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!

『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』とは

2000年3月4日に劇場公開されたアニメーション映画です。東映アニメフェアの一作として上映され、上映時間は40分でした。興行収入は21.66億円を記録しています。監督は、前作の劇場版に引き続き細田守が務めました。東映アニメーションが初めて本格的に手掛けたフルデジタルの劇場作品としても知られます。公開時には『ONE PIECE|ONE_PIECE』と同時上映されました。

概要と特徴

本作品は、1999年3月から2000年3月にかけて放送されたテレビアニメ『デジモンアドベンチャー』の劇場版第2作目にあたります。テレビシリーズの出来事から少し時間が経った後日譚を描いています。前作の映画（テレビシリーズの前日譚）と並んで、その完成度の高さから観客や評論家から高い評価と支持を受けました。当時、東映アニメフェアの作品としては異例とも言える、大人向けの解説本『DIGIMON MOVIE BOOK』（本作と前作を収録）が発売されています。また、2007年には細田守監督の手による絵コンテ集も出版されました。

テレビシリーズに登場する8人の主要キャラクターのうち、本作で物語の中心となるのは八神太一、石田ヤマト、泉光子郎、高石タケルの4人に絞られています。これは、限られた40分という上映時間の中で、各キャラクターに見せ場を公平に設けるための構成上の配慮でした。

物語の主な舞台は、日本の東京（お台場周辺）、島根県、そしてインターネット空間の3つです。劇中、島根県でパソコンを探すシーンから、後にインターネット上で「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん」という一種のネットミームが生まれました。

物語のクライマックスでは、核ミサイル「ピースキーパー」が発射され、劇中に登場する残り時間10分間のカウントダウンが、実際の映画の残り時間とほぼ同じように進行するという演出が用いられています。

特定のキャラクターやデジモンにとって、本作が初めての登場となりました。究極体デジモンであるオメガモンは本作で初披露され、後にテレビシリーズの続編『デジモンアドベンチャー02』で主要人物となる井ノ上京も本作で初めて登場します。本作は『02』のストーリーと深く関連しており、『02』の第27話では本作で起きた出来事が回想シーンとして描かれました。また、『02』の劇場版として2001年に公開された『デジモンアドベンチャー02 ディアボロモンの逆襲』は、本作の直接的な続編となっています。

2020年から放送されたテレビシリーズのリブート作品『デジモンアドベンチャー:』の第2話と第3話では、本作のストーリーラインをモチーフにしたエピソードが展開されました。

劇中の日付は、作中に映る食品の製造日から2000年3月4日であることが分かります。これは公開初日と同じであり、一般的ではないながらも春休み期間として描かれています。

本作のエンディングテーマ『作品No.2「春」イ長調 〜ぼくらのウォーゲーム!〜』のフルサイズ音源は、公開当時に発売された8cmシングルCDにのみ収録されており、サウンドトラックには劇中で使用された長さのバージョンしか収められていませんでした。そのため、長らくフルサイズの音源を入手することが困難な状況が続いていましたが、2014年に発売されたアルバム『デジモンムービーソングコレクション』に14年ぶりに収録され、再び聴くことができるようになりました。

後に細田守監督が手掛け、国内外で高い評価を得た映画『サマーウォーズ』は、本作のストーリー構造やテーマを原型としており、多くの類似点が指摘されています。

また、本作品はスタンリー・キューブリック監督の映画『博士の異常な愛情』（1964年）や、ジョン・バダム監督の『ウォー・ゲーム』（1983年）といった、世界の危機をコンピュータシステムや核兵器を巡る事態で描いた作品へのオマージュや類似性が見られるとの指摘があります。

企画の背景

企画当初は、沖縄を舞台に太一とゲストキャラクターが旅をするロードムービー案が検討されていました。しかし、上映時間が40分と短かったため、逆に「部屋から出ない」という設定を活かし、インターネット空間を主な舞台とするアイデアが採用されました。結果として、主人公の太一は自宅から一歩も出ずに、世界規模の危機に立ち向かうことになります。

また、当時の社会問題であった「2000年問題」をストーリーに取り入れ、「デジモンの仕業」とすることで子供にも親近感を持たせようという意図もありましたが、これにより作品が2000年という特定の年に限定され普遍性が失われる可能性があるとして、このアイデアは最終的に採用されませんでした。

ストーリー概要

デジタルワールドでの冒険から子供たちが現実世界に帰還して数か月が経った、2000年の春休み。突然、インターネット上に出現したデジタマから、新しい種類のデジモンが生まれました。この新種デジモンは、ネット上のコンピュータデータを貪り食らい、様々な機関のシステムを誤作動させながら、驚異的なスピードで進化を遂げていきます。その無邪気ながらも悪意のある行動によって、世界は混乱の渦に巻き込まれていきます。

この謎の新種デジモンによる世界的な危機にいち早く気付いた太一と光子郎は、再び他の「選ばれし子供たち」に連絡を取り、インターネット空間での新たな戦いに挑むことになります。

主な登場デジモン

• - 新種デジモン（進化段階：クラモン→ツメモン→ケラモン→インフェルモン→ディアボロモン）

インターネット上に突如現れたデジタマから誕生しました。無邪気さと凶悪さを併せ持ち、ネット上のバグが集まって生まれたとされています。非常に強い食欲を持ち、ごく短期間のうちに成熟期を除く全ての進化段階を経験しました。「遊び」の感覚で世界を危険に晒すという、タチの悪い性質を持っています。劇中ではそれぞれの名称は明かされませんでした。

• - オメガモン

選ばれし子供たちのデジモンであるウォーグレイモンとメタルガルルモンが融合（合体進化）した究極体デジモンです。左腕にウォーグレイモンの要素、右腕にメタルガルルモンの要素を持ち、その能力は極めて強力です。劇中では、左腕のグレイソードであらゆる攻撃を弾き返し、右腕のガルルキャノンで無数の敵を一瞬で殲滅するなど、圧倒的な力を見せつけ、一騎当千の活躍をしました。

主題歌・挿入歌

• - オープニングテーマ：

「Butter-Fly」
作詞・作曲：千綿偉功 / 編曲：渡部チェル / 歌：和田光司

• - エンディングテーマ：

「作品No.2「春」イ長調 〜ぼくらのウォーゲーム!〜」
作詞：Namika / 作曲・編曲：宮崎道 / 歌：AiM

• - 挿入歌：

「brave heart」
作詞：大森祥子 / 作曲・編曲：太田美知彦 / 歌：宮崎歩
「レクイエム」
作曲：有澤孝紀 / 歌：東京少年少女合唱隊

スタッフ

• - 監督：細田守
• - 脚本：吉田玲子
• - キャラクターデザイン：中鶴勝祥
• - キャラクターデザイン・作画監督：山下高明、中山久司
• - 美術監督：田村せいき
• - 音楽：有澤孝紀

受賞歴

• - 第18回ゴールデングロス賞優秀銀賞

その他の情報

2008年12月22日にはNHKBS2でテレビ放送されました。また、過去にはバンダイチャンネルにて期間限定での無料配信が行われたことがあります。

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