デジモンセイバーズアナザーミッション

『デジモンセイバーズアナザーミッション』は、テレビアニメ『デジモンセイバーズ』の世界観を基に制作されたPlayStation 2専用ゲームソフトで、2006年 11月30日に発売されました。この作品は、同時期に稼働していたアーケードゲーム『究極対戦!!デジモンバトルターミナル』で使用されたデジモンのモデリングを流用しています。

概要

本作の大きな特徴として、「ギャラクティカエボリューション・システム」と「エモーショナルコマンドシステム」という独自のバトルシステムが挙げられます。「ギャラクティカエボリューション」を用いることで、主人公の大たちのパートナーデジモンであるアグモンなどが、本来の進化系統とは異なるデジモンへと進化することが可能になっています。これは、ゲーム内のストーリーで発生しているデジモンに異変が起こっている状況を反映した変化として説明されています。ただし、この系統外進化を行った場合、デジモンのボイスが再生されなくなるという仕様があります。

ゲーム中には、『デジモンアドベンチャー』などの旧シリーズに登場したデジモンも多数登場し、別個体ながらも過去作品を想起させるような解説が随所に記されています。シナリオは、漫画『デジモンネクスト』の原作者としても知られる浜崎達也氏が手掛けています。

テレビアニメ本編ではロイヤルナイツが物語の重要な要素となっていましたが、本作ではゲーム独自のシナリオとして「七大魔王」が総登場し、プレイヤーの前に立ちはだかります。ゲームのストーリーはアニメ本編をある程度意識して作られていますが、基本的にはオリジナルの展開であり、そのためにアニメ本編とは整合性が取れない部分も存在します。

ゲームとしての全体的な評価は、いくつかの要因によって芳しいものではありませんでした。具体的には、ゲームプレイ中のロード時間が長いことや、独自の戦闘システムが直感的ではなく操作方法が難解であり、有効な攻略法が広く確立されなかったことなどが、評価が低くなった理由として挙げられます。

ストーリー

物語は、デジモンが原因不明の凶暴化を起こし、人間界で事件を多発させる状況から始まります。DATS（デジモン事故対策チーム）のメンバーは、これらの事件への対応に追われる日々を送っていました。そのような中、主人公である大とそのパートナーデジモンであるアグモンは、突如現れた魔王型デジモンの一体であるデーモンと遭遇し、圧倒的な力の前に完敗を喫してしまいます。この敗北を機に、大とアグモンはデーモンへのリベンジを固く誓います。ちょうど同時期に、連続児童失踪事件が発生しており、DATSはこの事件とデジモンの凶暴化に何らかの関連がある可能性を視野に入れ、本格的な調査を開始することになります。

登場人物

本作には、アニメ『デジモンセイバーズ』本編の登場人物に加えて、ゲームオリジナルのキャラクターが多数登場し、物語の核を担います。

オリジナルキャラクター

神楽由麻（かぐらゆま）
連続児童失踪事件の被害者の一人。パートナーデジモンのレナモンと行動を共にしていることで、クラスメイトから心無い言葉を浴びせられるなど、いじめの対象となっていました。物静かな印象ですが、その内には強い芯を秘めており、七つの大罪にまつわる奇妙な夢に惑わされる他の子供たちの中で、唯一冷静さを保っています。デジヴァイスは所持していませんが、レナモンを進化させる特殊な能力を持っています。

レナモン
由麻のパートナーデジモン。中性的ながら落ち着いた口調で話す穏やかな性格です。かつて由麻から貰った栄養ドリンクを大切に持ち歩いており、常に由麻のために行動することを最優先としています。

神楽司（かぐらつかさ）
由麻の兄で、DATSに新しく配属された技術者です。主人公の一人であるトーマの大学時代の先輩にあたります。ゲームの鍵となる「ダークエリア」に関する研究を進めています。物語の終盤では本性を現し、最強の魔王型デジモンであるルーチェモンを復活させようと暗躍します。

桂小三郎（かつらこさぶろう）
私立探偵を名乗る男性。しばしばDATSの捜査に干渉し、特に淑乃からは警戒されています。何者かからの依頼を受けて動いており、本作では魔王型デジモンのコードキーの入手を目指します。緑色のデジヴァイスを携帯していますが、その入手経路は不明です。

ピヨモン
小三郎のパートナーデジモンであり、彼の助手も務めています。非常に騒がしい性格。主にアニメ『デジモンアドベンチャー』に登場したピヨモンと同じ系統のデジモンに進化します。物語中では、知香のパートナーデジモンであるピヨモンとは別の個体であることが明言されています。

新田正貴（にったまさき）
元DATSの隊員で、淑乃の元先輩にあたる人物。過去にパートナーデジモンを使って他人を傷つけてしまった出来事を深く後悔し、DATSを去った後失踪していました。強い正義感と責任感の持ち主です。紫色のデジヴァイスを所持しています。

新田真奈美（にったまなみ）
正貴の娘。帰ってこない父親を公園で待ち続けています。

七大魔王

物語の黒幕として、七大魔王が総登場します。これらの魔王は、過去のデジモンシリーズに登場した同名のデジモンとは別の個体という設定です。

デーモン：七つの大罪「憤怒」を司る魔王。物語の序盤で大たちの前に立ちはだかります。
ベルフェモン：七つの大罪「怠惰」を司る魔王。
バルバモン：七つの大罪「強欲」を司る魔王。
リリスモン：七つの大罪「愛欲」を司る魔王。作中では、主人公の大やトーマ、イクトといった可愛い男の子に興味を示す描写があります。
ベルゼブモン：七つの大罪「暴食」を司る魔王。
リヴァイアモン：七つの大罪「嫉妬」を司る魔王。
ルーチェモンフォールダウンモード：七つの大罪「傲慢」を司る魔王。七大魔王の中でも特に強力な「超魔王」と称される存在です。

デジモンセイバーズ アナザーミッション