デジモンワールド3 新たなる冒険の扉

デジモンワールド3 新たなる冒険の扉

『デジモンワールド3 新たなる冒険の扉』は、バンダイからPlayStation向けにリリースされたロールプレイングゲームです。携帯ゲーム「デジタルモンスター」シリーズを基にした家庭用ゲーム『デジモンワールド』シリーズの第3作として、2002年7月4日に発売されました。PlayStationで展開されたデジモンシリーズの作品としては、本作が最後にあたります。前作には『デジモンワールド2』が、続編としては『デジモンワールドX』が存在しますが、システムやストーリーにおいて、これらの作品を含む他の『デジモンワールド』シリーズとの直接的な繋がりはありません。

ストーリー

物語の舞台は、現代からそう遠くない近未来の現実世界。世界中で大流行しているオンラインゲーム「デジモン・オンライン」を巡る出来事が描かれます。主人公のアツシは、友人であるタクミやミノリと共にこのオンラインゲームを遊び始めますが、ゲームのプレイ中に突如としてシステムトラブルが発生し、アツシたちを含む多くのプレイヤーが現実世界へ戻れなくなってしまいます。この予期せぬ事態の裏には、オンラインゲームの世界を支配しようとするテロリスト集団「A.o.A.」による、世界中のインターネットを掌握するための恐ろしい陰謀が隠されていました。ゲームの世界に閉じ込められたアツシたちは、パートナーデジモンと共にデジタルワールドを冒険し、現実世界への帰還とA.o.A.による陰謀の阻止を目指します。

システム

本作はオンラインゲームを題材としているため、ゲームシステムや演出にはそのモチーフが随所に反映されています。

バトル

戦闘システムは、前作『デジモンワールド2』の3対3バトルから変更され、プレイヤーは手持ちの3体の中から一体を選び、敵一体と戦う1対1のコマンド選択式バトルとなりました。バトル中に選択できるコマンドは以下の通りです。

• - たたかう
• - わざ
• - シンカ
• - ひかえ
• - どうぐ
• - にげる

特筆すべきシステムとして、シリーズで唯一、戦闘中にデジモンを進化させられる点が挙げられます。控えのデジモンと協力して行う「ジョグレス進化」も可能で、進化やジョグレス時のグラフィック演出は、アニメーションを彷彿とさせる派手なものです。

フィールド

フィールドのグラフィックも、前作までのリアルな3DCG表現から変化し、今作では背景などにマンガやアニメのようなイラストが使用されています。プレイヤーは操作キャラクターである主人公をフィールド上で自由に動かすことができ、控えを含む最大3体のパートナーデジモンがその後ろを付いてくる仕様です。主人公やデジモンなどのキャラクターモデルは、2頭身から3頭身ほどのデフォルメされたデザインとなっています。

フィールドは複数のエリアに分かれており、エリア移動時には必ず画面の端に「ロード中」の表示が残る演出が入ります（これはゲームの仕様です）。敵とのエンカウント形式も、過去作のようにフィールド上に敵グラフィックが表示されるシンボルエンカウントではなく、移動中にランダムで敵デジモンが出現するランダムエンカウント方式に変更されました。

登場キャラクターとデジモン

主人公は12歳の少年アツシ。正義感が強くデジモンが大好きです。彼と共にゲームに参加する友人タクミ、そして行方不明の兄を探すためゲームに入ったミノリ（ハンドルネーム：カイト）が冒険を共にします。

ゲームの世界には、各セクターを守護する強力なシティリーダーや、国際警察S.A.Pのメンバー（リサ、キース、ニック）、そしてオンラインゲーム開発に関わった天才ハッカー、ラッキーマウスことクウト（ミノリの兄）などが登場し、アツシたちの冒険を助けたり、時には試練を与えたりします。

彼らの前に立ちはだかるのが、犯罪組織A.o.A.です。彼らはデジモン・オンラインを悪用して世界を支配しようと企んでおり、様々な工作員やゲームマスター、そして組織の真の支配者であるロードメガデスが主人公と敵対します。ロードメガデスは、ネットから生まれたデジタル生命体であり、世界を一度滅ぼして新たに作り変えるという危険な思想を持っています。

物語において重要な役割を果たすデジモンとして、謎めいた成長期デジモンベムモンが挙げられます。ベムモンはデジモンのデータを吸収して進化し、最終的には最強のデジモンであるラグナモン（さらにはガイアモン）への進化を目指します。A.o.A.はこのベムモンを利用し、計画を遂行しようとします。

また、本作で初登場となるオリジナルデジモンが多数登場します。プレイヤーが最初にパートナーを選ぶ「スターターパック」に含まれるベアモン、コテモン、コエモンといったデジモンや、その進化形態などが物語を彩ります。ゲームシステムを支えるデジモンもおり、例えばテイルモンは各地の宿屋、ガードロモンはセーブポイントを担当するなど、様々なデジモンがゲームの世界で活躍しています。

世界と用語

ゲームの舞台となるのは、オンラインゲーム内の仮想世界「デジタルワールド」です。主に「アスカ・サーバ」と「アマテラス・サーバ」という二つの大きな領域が存在します。アスカ・サーバは主人公たちが冒険を開始する場所で、初心者向けのエリアが多く含まれます。一方、A.o.A.に乗っ取られたアマテラス・サーバは、より危険な場所であり、ここではシティリーダーではなくチーフと呼ばれる存在が各エリアの要となっています。

デジモン・オンラインは、プレイヤーの思考や知覚をデジタル化してネット空間へ送り込む「マトリクス・チェンバー・システム」により、現実と変わらない感覚でプレイできる画期的なゲームです。A.o.A.はこれを悪用し、世界中のネットワークを支配しようと企みます。彼らの計画には、ベムモンと機械を融合させる「フュージョナイツ」や、強力な兵器であるジャガーノート、ガンスリンガーといった用語が深く関わってきます。

『デジモンワールド3 新たなる冒険の扉』は、PlayStation最後のデジモンタイトルとして、独自のシステムと深い物語、そして魅力的なキャラクターとデジモンたちによって、シリーズの中でも異彩を放つ作品となっています。オンラインゲーム世界を舞台にした緊迫感のある展開と、戦略的なバトル、そして広大なデジタルワールドの探索がプレイヤーを待ち受けています。

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