デジャ・メイク・ハー

レッド・ツェッペリン「デジャ・メイク・ハー」解説

「デジャ・メイク・ハー」(D'yer Mak'er)は、レッド・ツェッペリンが1973年に発表したアルバム『聖なる館』の収録曲です。この曲は、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジミー・ペイジ、ロバート・プラントの4人によって作詞作曲されました。

楽曲の概要

この曲は、ジョン・ボーナム主導で制作された、明るく軽快なナンバーです。制作当初は1950年代風のロックンロールとして構想されていましたが、制作が進むにつれてバックビートの要素が取り入れられ、レゲエ風の仕上がりとなりました。約4分20秒の演奏時間の中で、ツェッペリンならではの音楽的探求が凝縮されています。

タイトルの由来

この曲の奇妙なタイトルは、イギリスの古いジョークに由来しています。「D'yer mak'er」というフレーズをイギリス人が発音すると、「ジャマイカ」と聞こえるという言葉遊びから、イギリス出身のレッド・ツェッペリンがレゲエ風の曲を演奏するというジョークになっています。

さらに、このジョークは歌詞の内容とも深く結びついています。ジョークの内容は以下の通りです。

A: 「妻と喧嘩して、妻がジャマイカへ行ってしまった」
B: 「ジャマイカ!?」
A: （「D'yer mak'er!?」と聞き間違えられたと思い）「いや、彼女が自分で出て行ったんだ」

「D'yer mak'er?」は「Did you make her?」の音を表したもので、この文脈では「お前がそうさせたのか？」という意味になります。つまり、妻に捨てられた男が、「D'yer mak'er?（ジャマイカ？＝お前がそうさせたのか？）」とからかわれるという、ひねくれた物語を「ジャマイカ」風の音楽に乗せて歌っているのです。

メンバーのコメント

ジミー・ペイジは、「この曲をレゲエだと言ったことは一度もない。自分たちは本物のレゲエを演奏することなどできないし、そんなことを言えばレゲエに対して失礼だ」という趣旨の発言をしています。しかし、現在では多くのレゲエアーティストによってこの曲がカバーされており、ツェッペリン流の解釈がレゲエシーンにも影響を与えていることが伺えます。

ステージでの演奏

1975年5月25日のアールズコート公演では、「コミュニケーション・ブレイクダウン」の演奏中に、ロバート・プラントがこの曲の歌詞を口ずさむ場面がありました。これは、彼らがライブパフォーマンスにおいても、この曲を大切にしていたことを示唆しています。

関連事項

D'yerMak'er?
日本のアイドルグループ。グループ名は本楽曲に由来します。

まとめ

「デジャ・メイク・ハー」は、レッド・ツェッペリンの音楽的な幅広さを示すとともに、彼らのユーモアのセンスが光る楽曲です。レゲエとロックンロールの融合という実験的な試みは、今日においても新鮮さを失わず、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

参考文献
『レッド・ツェッペリン全曲解説』デイヴ・ルイス著　福田美環子訳　シンコー・ミュージック刊
『ジミー・ペイジ語録』ハワード・マイレット編　野間けい子訳　シンコー・ミュージック刊

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