デスハンター

デスハンター

『デスハンター』は、平井和正（原作）・桑田次郎（作画）による1969年から1970年にかけて『週刊ぼくらマガジン』で連載された漫画作品です。平井和正が小説形式で執筆した原作を元に、桑田次郎が作画を担当しました。後に、平井はこの原作原稿をベースにして小説『死霊狩り』（ゾンビー・ハンター）三部作を執筆しています。また、小説『死霊狩り』は梁慶一によって『死霊狩り』として再漫画化もされています。

ストーリー

物語は、レーサーの職を失い自暴自棄になっていた田村俊夫が、シャドウと名乗る男の誘いを受け、ジャングルでの命懸けの選抜試験に挑むところから始まります。そこで彼は、元女テロリストのリュシール・ブルーエ、中国人の元工作員・林石隆らと共に第一次選抜試験に合格します。

狂気じみた鍛錬を経て一流の殺し屋へと鍛え上げられた俊夫は、最終選抜試験で重傷を負いながらも合格を果たしますが、片目片腕を失うという代償を払います。しかし、彼は義眼と義手を与えられサイボーグ化され、超人的な能力を手に入れます。大勢の人間を虐殺するためとしか思えない過酷なテストへの憤りを抑えられず、俊夫はシャドウの命を狙いますが、シャドウは、人間に取り憑いて凶暴化させる謎の生命体「デス」を抹殺する「デスハンター」組織結成のためだったことを明かします。

シャドウへの怒りと不信を抑えられなかった俊夫は組織を去り日本に戻りますが、姉と恋人マリアンヌは某国工作員グループに誘拐されてしまいます。彼らを追った俊夫は、デスとなったマリアンヌが、自身を誘拐した男たちや俊夫の姉を惨殺していたことを知り、彼女を倒します。そして俊夫は、シャドウが姉達の命を犠牲にする事で組織に戻るよう誘導していたことを悟り、デスの抹殺後はシャドウを殺すと誓った上でデスハンターの一員となります。

デス化の疑いがかけられている加賀見技師一家に近づいた俊夫は、加賀見の妹・良子に惹かれますが、加賀見家の者は妻、幼い子供2人、飼い猫、そして良子までもがデスであったことが次々に判明します。加賀見技師はそれを知りつつも、デスとなった家族を愛していたと告白し、俊夫は愕然とします。

加賀見一家を全員葬ったものの罪悪感に苛まれた俊夫は、基地の医療設備の中で洗脳措置を施され、冷酷な殺人者と化していきます。かつての仲間に捕らえられたリュシールが拷問され、顔の皮を剥ぎ取られた瀕死の状態で帰還しても、何の感情も抱かない人間となっていくのです。

そんなある日、孤島にあるデスハンター基地にデスが侵入し、次々とデスハンターたちが殺されていきます。狩られる側だったデスによる破壊工作によって同士討ちが引き起こされ、デスハンター組織は崩壊を始めます。シャドウは基地を見捨てることを決断しますが、その時、俊夫の心身に重大な変化が起こり始めます。

小説『死霊狩り』との比較

小説版と漫画版では、ゾンビーがデス、ライラ・アミンがリュシール・ブルーエ、加賀技師が加賀見技師、Sがシャドウというように、人物名や用語が異なっています。また少年漫画ということもあり、小説でのジャンジーラ（漫画ではマリアンヌ）が誘拐グループに性的暴行を受けていた痕跡や、人種差別主義者のゾンビーハンターと俊夫との関わりの中で精神異常をきたした女職員のエピソードといった、性的な要素はほとんど存在しません。

ただし残酷描写は、桑田次郎のシャープな画風によって直接的で凄惨な描写が多くなっています。拷問で生爪を剥がされた上に顔の皮を剥がれたリュシールの顔、銃撃で顔の半分が崩れ去ったまま俊夫に向かってくる血まみれのマリアンヌなどが例として挙げられます。

小説版では、シャドウが基地に中性子爆弾を仕掛けて脱出し、それを解除しようとする林石隆が毒ガスによって倒れ、俊夫が基地に侵入したゾンビー（デス）からその正体と目的を知らされる中、爆弾が爆発して全てが終わります。しかし漫画版では、その後が描かれており、シャドウに妻子を人質に取られた男が、その指示により不死身の肉体と生命を保証する新興宗教を探りに行き、そこでデスによって進化した俊夫とリュシールの2人と出会うという展開になっています。

主要登場人物

田村俊夫: 主人公。元レーサーで、サイボーグとして蘇りデスハンターとなる。
リュシール・ブルーエ: 元アラブゲリラの一員で、デスハンターの一員となる。
林石隆: 元某国の破壊工作員で、デスハンターの一員となる。
シャドウ: デスハンター機関の司令官。冷酷な性格の持ち主。

『デスハンター』は、SF、アクション、ホラーの要素が融合した作品であり、その過激な描写と、人間とは何かを問いかけるテーマが読者に強い印象を与えます。

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