デッドゾーン (映画)

デッドゾーン（The Dead Zone）

『デッドゾーン』は、デヴィッド・クローネンバーグ監督による1983年のサスペンス映画で、スティーヴン・キングの小説が原作です。この作品は、特殊な能力を持つ男が孤独に生き抜く姿を描いていますが、特に主人公であるジョニー・スミスの視点に焦点を当てています。

あらすじ

物語の舞台はニューイングランド。主人公のジョニー・スミス（クリストファー・ウォーケン）は若き教師であり、同僚のサラ（ブルック・アダムス）との恋愛関係がありました。しかし、ある夜のデート後、彼は自動車事故に巻き込まれ、昏睡状態に陥ります。事故から目覚めたジョニーは、なんと5年の歳月が過ぎていたことに愕然とします。彼の愛していたサラは別の男性と結婚し、子どももいるのです。

事故の後、ジョニーは超能力に目覚めます。彼は他人に触れることで、その人の過去や未来を知覚できる能力を持つようになりました。看護師の家から火事を透視するなどの出来事もあり、彼の能力は周囲に注目されることになります。これにより、ジョニーの人生は一変します。

ある日、バナーマン保安官（トム・スケリット）が彼のもとを訪れ、連続強姦殺人事件の解決に力を貸してほしいと頼みます。初めは断るも、必死の捜査を見て協力することを決意し、新たな殺人事件の現場で犯人を透視し、無事に事件を解決します。その後、ジョニーは家庭教師として新たな町に移り、教え子が事故死するビジョンを見ますが、彼の警告により教え子は死を逃れます。

さらに物語は進み、新進の政治家グレッグ・スティルソン（マーティン・シーン）の演説会が近くで開かれます。ジョニーはサラがスティルソンを応援しているのを見つけ、会場に足を運びます。偶然にもスティルソンと握手した瞬間、ジョニーは彼が未来においてアメリカの大統領になり、核ミサイルのボタンを押すビジョンを見てしまいます。これは、世界を破滅へ導く恐ろしい未来であるとジョニーは感じます。

ウイザック医師は、ジョニーの能力に注目し、予知した未来は変えることができるのではないかと示唆します。ジョニーは「もしヒトラーが台頭する前のドイツに行けたなら、どうするか？」という問いに対する答えを求め、自身もスティルソンの暗殺を決意します。

演説会場にライフルを持って乗り込むジョニーですが、暗殺は失敗に終わります。彼は致命傷を負い、スティルソンは無傷でした。しかし、彼の銃を向けられた瞬間、スティルソンの卑劣な行為のビジョンが見えてしまいます。ジョニーは、スティルソンの未来を変える事の出来る満足感を持ちつつ、最後の瞬間を迎えます。

キャスト

• - クリストファー・ウォーケン - ジョニー・スミス（主人公、高校教師）
• - ブルック・アダムス - サラ・ブラックネル（主人公のフィアンセ）
• - トム・スケリット - バナーマン保安官（主人公に「能力」を人のために役立てることを薦める）
• - ハーバート・ロム - サム・ウイザック（主人公の主治医）
• - マーティン・シーン - グレッグ・スティルソン（新進の政治家）

この映画は、キングの原作を基にしつつも、監督の独自の解釈や新たな設定が盛り込まれており、サスペンスかつ感情的な要素を兼ね備えた作品に仕上がっています。特に、ジョニーの悲劇的かつ孤独な選択が観客に強く印象を残します。映画は公開後も高評価を得ており、監督クローネンバーグのキャリアの重要な一歩となりました。

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