デビッド・ヘイ

デビッド・ヘイ：スピードとパワーを兼ね備えたカリスマボクサー

デビッド・ヘイ（David Haye、1980年10月13日生まれ）は、イギリス・ロンドン出身の元プロボクサーです。クルーザー級とヘビー級の2階級で世界王者に輝いた実力者であり、その鍛え上げられた肉体と、スピード、パワーを兼ね備えたオールラウンドなスタイルで観客を魅了しました。ニックネームは「Hayemaker（ヘイメーカー）」。

プロフィールとキャリア初期

ヘイは、父親が空手の指導者という格闘技一家に育ちました。アマチュア時代には、1999年の世界ボクシング選手権にライトヘビー級で出場し、2001年にはヘビー級で銀メダルを獲得するなど、早くからその才能を発揮していました。

2002年12月、プロデビュー戦を2回TKO勝利で飾り、プロとしてのキャリアをスタートさせます。2003年にはBBBofCイングランドクルーザー級王座を獲得し、その勢いは止まりませんでした。デビューから10戦連続KO勝利を収めるなど、圧倒的な強さを見せつけていましたが、2004年、WBO世界クルーザー級王者カール・トンプソンとの対戦で5回TKO負けを喫し、プロ初黒星を記録します。

クルーザー級での成功

初黒星を喫したヘイでしたが、その後、再び勢いを取り戻します。2005年にはEBUヨーロピアンクルーザー級王座を獲得し、2006年には同王座の防衛に成功。同年、後のWBC世界クルーザー級王者となるジャコーベ・フラゴメーニをTKOで下し、WBC王座への挑戦権を獲得しました。

2007年、WBAスーパー・WBC世界クルーザー級王者ジャン＝マルク・モルメクに挑戦。4回にダウンを奪われる苦しい展開でしたが、7回に逆転TKO勝利を収め、見事WBA王座とWBC王座を獲得しました。さらに、2008年にはWBO世界クルーザー級王者のエンゾ・マカリネリとの王座統一戦に勝利し、3団体統一王者となりました。この後、ヘビー級転向のため、クルーザー級の王座を全て返上しました。

ヘビー級への挑戦と王座獲得

2008年11月、ヘビー級に転向したヘイは、モンテ・バレットを5回TKOで下し、ヘビー級でもその強さを見せつけました。2009年には、WBA世界ヘビー級王者ニコライ・ワルーエフに挑戦。身長213cm、体重143kgという巨漢ワルーエフを相手に、ヘイは2-0の判定勝利を収め、見事王座を獲得。2階級制覇を達成しました。

その後、ジョン・ルイス、オードリー・ハリソンとの防衛戦をTKOで制し、その実力を証明しました。しかし、2011年、ウラジミール・クリチコとの王座統一戦では、0-3の大差判定負けを喫し、WBA王座から陥落してしまいます。

引退と復帰、そして波乱の晩年

2011年10月、ヘイは31歳の誕生日に現役引退を表明しましたが、2012年、デレック・チゾラとの乱闘騒ぎをきっかけに、因縁に決着をつけるため現役復帰を決意。2012年7月、チゾラとの試合で5回TKO勝利を収めました。この試合は、イギリスのボクシング管理委員会が開催を認めなかったものの、ルクセンブルクのボクシング連盟が両選手にライセンスを交付するという異例の形で開催されました。

その後、マヌエル・チャーとの対戦がキャンセルになり、タイソン・フューリーとの試合が決定するも、度重なる怪我で試合がキャンセルに。2014年には右肩の重傷により引退勧告を受けました。しかし、2016年、3年半ぶりに現役復帰を果たしますが、2017年にはトニー・ベリューにTKO負けを喫し、アキレス腱の手術を受けるなど、怪我に苦しみます。

2018年、ベリューとの再戦でもTKO負けを喫し、再び引退を発表しました。2021年にはエキシビションマッチで復帰しましたが、プロボクサーとしてのキャリアは幕を閉じました。

その他の活動

ヘイは、プロボクサーとしての活動と並行して、自身のプロモーション会社であるヘイメーカー・プロモーションズを主宰し、総合格闘技の指導や、イギリスのBAMMAの解説者としても活躍していました。また、モデルとしても活躍するなど、多才な一面も持っています。

デビッド・ヘイの主な獲得タイトル

BBBofCイングランドクルーザー級王座
EBUヨーロピアンクルーザー級王座
WBA世界クルーザー級スーパー王座
WBC世界クルーザー級王座
WBO世界クルーザー級王座
WBA世界ヘビー級王座
WBOインターナショナルヘビー級王座
WBAインターコンチネンタルヘビー級王座

まとめ

デビッド・ヘイは、その卓越したボクシングスキルとカリスマ性で、多くのファンを魅了しました。度重なる怪我や波乱に満ちたキャリアでしたが、その活躍はボクシング史に深く刻まれています。

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