デビッド・リー (物理学者)

デビッド・モリス・リー

デビッド・モリス・リー氏（David Morris Lee）は、1931年1月20日にこの世に生を受けたアメリカ合衆国の物理学者です。彼の最も顕著な功績は、極めて低い温度環境下におけるヘリウム3の超流動状態の発見にあります。この画期的な研究成果は、1996年度のノーベル物理学賞受賞へと繋がりました。

生涯と学歴

リー氏は、ニューヨーク州ライにおいて誕生しました。彼の両親は、イングランドとリトアニアからのユダヤ系移民でした。学問の道を歩み始めたリー氏は、まずハーバード大学で学び、1952年に卒業しました。大学卒業後、彼はアメリカ陸軍での任務に就きました。軍務を終えた後も研究への情熱は衰えず、コネティカット大学で修士号を取得。さらに、1955年にはイェール大学の大学院博士課程に進学し、著名な物理学者であるヘンリー・フェアバンク教授のもとで研究に励みました。イェール大学で博士号を取得したリー氏は、コーネル大学の教員となり、長年にわたり同大学で研究教育活動に従事しました。その後、2009年11月16日には、コーネル大学からテキサスA&M大学へと所属を移しました。私生活では既婚であり、二人の息子がいます。

研究活動

リー氏の研究者としてのキャリアは、特に極低温物理学の分野で輝かしい成果を残しています。1972年、彼はコーネル大学の同僚であるロバート・リチャードソン氏、そして当時の大学院生であったダグラス・D・オシェロフ氏と共同で、ヘリウム3が極低温で超流動状態を示すことを報告する重要な論文を発表しました。この発見は、量子液体の振る舞いに対する理解を深める上で極めて重要な貢献となりました。また、リー氏はジャック・フリード氏と共に、水素原子における角スピン波の存在も実験的に確認しています。現在、彼の研究グループは、純粋ではない（不純物が含まれる）ヘリウム固体に関する研究に取り組んでおり、物質の低温における新たな物性の探求を続けています。

受賞と栄誉

ヘリウム3の超流動発見という顕著な業績は、多くの科学賞によって称えられています。リー氏、リチャードソン氏、オシェロフ氏の三氏は、その発見に対して1976年にイギリス物理学会からサイモン記念賞を授与されました。さらに、アメリカ物理学会からはオリバー・バークレイ賞が贈られています。そして、この功績に対する最高の栄誉として、彼ら三人は1996年度のノーベル物理学賞を共同で受賞しました。これらの受賞は、彼らの研究が物理学界に与えた影響の大きさを明確に示しています。リー氏はまた、アメリカ合衆国の権威ある学術組織である全米科学アカデミーおよびアメリカ芸術科学アカデミーの会員でもあり、科学界におけるその地位の高さがうかがえます。

もう一度検索