デュアハウスバッケン

デュアハウスバッケン

デュアハウスバッケンは、デンマークの首都コペンハーゲンの北方、リュンビュ＝ターベック市クランペンボーに位置する歴史あるテーマパークであり遊園地です。その名称は「鹿の牧草地の丘」を意味しており、周辺地域の自然環境と深く結びついています。特筆すべきはその歴史で、1583年の開業とされており、現存する遊園地としては世界最古として広く認識されています。現在も多くの人々に愛されており、年間およそ250万人から290万人が訪れ、デンマーク国内では著名なチボリ公園に次ぐ入場者数を誇っています。

歴史

デュアハウスバッケンの起源は、今から4世紀以上前にさかのぼります。1583年、キルスティン・ピルという女性が、現在の公園がある場所に自然の泉を発見したことが始まりとされています。当時のコペンハーゲン市内では飲料水の水質が悪く、またこの泉には病気を癒す効果があると信じられていたため、市内外から多くの人々が水を求めてこの地に集まるようになりました。人々の集まりは自然と商業活動を呼び込み、泉の周辺には商品を売る行商人や、人々を楽しませる大道芸人が集まるようになりました。やがて、彼らを相手にした飲食店や宿泊施設も整備され、これが後の遊園地の基盤となったと考えられています。

集まる人々が増えるにつれて、この地域の管理は王室の関心事となります。1669年には、デンマーク国王フレデリク3世が泉周辺を王室の狩猟地として整備することを決定しました。さらにその息子のクリスチャン5世は、1670年に狩猟地の規模を拡大し、これを「デュアヘーウン狩猟公園（鹿公園）」と名付けましたが、同時に一般庶民の立ち入りを厳しく制限しました。しかし、この制限は永続的なものではなく、1756年にフレデリク5世の時代になると、再び一般の人々にも公園への立ち入りが許可されるようになります。

立ち入りが再開されると、デュアハウスバッケンには再び活気が戻り、その評判はデンマーク国内にとどまらず、ヨーロッパ各地にまで広まっていきました。ナポレオン戦争の混乱期にあっても、デュアハウスバッケンは発展を続け、その後の蒸気船や鉄道といった交通機関の発達は、さらに多くの人々をこの地に運ぶこととなり、集客は一層増加しました。

公園が拡大し、多くの事業者が活動するようになる中で、共同での課題解決やインフラ整備の必要性が生じました。これに対応するため、1885年にはデュアハウスバッケン内で事業を営む者たちの組合として「デュアハウスバッケン テント所有者協会」が設立されました。この組合は、公園内のトイレ整備や廃棄物収集、さらには水道や電気系統といった共通インフラの整備・管理を担う重要な役割を果たしました。この協会は現在も存続しており、公園内で出店やサービスを提供する事業者は、その加入が義務付けられています。

20世紀に入ると、技術の進歩を取り入れ、自動化されたアトラクションが登場するなど、デュアハウスバッケンは近代的な遊園地へとその姿を変えていきました。特に、1932年に開設された木造のジェットコースター『Rutschebanen』は、現在も運行されている世界最古級の木製コースターの一つとして知られており、公園の歴史を物語る象徴となっています。

現在のデュアハウスバッケン

現在のデュアハウスバッケンは、長い歴史を経て培われた雰囲気を保ちつつ、現代的な楽しさを提供する多様な施設を備えています。スリル満点のジェットコースターをはじめとする様々なタイプのアトラクションが充実しているほか、景品獲得を目指すゲームコーナー、音楽や演劇を楽しめるミュージックホール、アクロバティックなパフォーマンスが披露されるサーカスなど、幅広いエンターテインメントが用意されています。さらに、カジュアルな軽食から本格的な食事まで楽しめる様々なスタイルの飲食店、リラックスできるバーやラウンジなども点在しており、訪れる人々は一日を通して様々な楽しみ方を見つけることができます。世界最古というユニークな歴史と、現代的なアトラクションが融合したデュアハウスバッケンは、今も多くの人々にとって魅力的な行楽地となっています。

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