デュフェイカラー

デュフェイカラーの概要

デュフェイカラー（Dufaycolor）は1932年に映画用、1935年にスチール写真用として導入された英国初の加法混色写真フィルムのプロセスです。この技術は、1909年にフランスで登場したルイ・デュフェイの「ディオプティクローム・プレート」に由来し、オートクロームと同じ理論に基づいていますが、デュフェイカラーはより規則正しい幾何学模様を用いたフィルターを使用している点が特徴です。このプロセスは1950年代後半まで利用されました。

デュフェイカラーの歴史

デュフェイカラーの起源は1860年代後半のフランスにさかのぼります。当時、ルイ・デュコ・デュ・オロンが小さなカラーフィルターのモザイクを用いて白黒写真に自然な色を再現するアイデアを特許化しましたが、当時の技術では実用化が難しく、その後1894年にジョン・ジョリーがこの技術を模索しました。1907年にオートクロームプレートが登場すると、これがデュフェイカラーの競合製品となりました。1931年にはオートクロームのフィルム版が発売されるなど、技術革新が続きました。

プロセスの詳細

デュフェイカラーの基本原理は、光の三原色である赤、緑、青を利用して色を再現することです。具体的には、フィルムの片面に色を塗ったコロジオンを用意し、その上に幾何学模様で印刷されたカラーフィルターを設けます。このフィルターには、約100万個の色要素が配置されており、光が通過するときにそれぞれの色素子が受け取った原色の光を記録します。デュフェイカラーは通常、ネガではなくポジ画像を生成するリバーサルフィルムとして使用されます。

デュフェイカラーの特性

このカラーフィルムの欠点としては、モザイクの「レゾー」が光を吸収するため、通常の照明条件では非常に明るい光源が必要となる点や、大きく拡大すると個々のカラーフィルターが見えてしまうことがあります。しかし、その独特なカラーモザイクと容易な処理方法は、多くのアマチュア写真家や映画制作者に支持された要因でもあります。

映画への応用

デュフェイカラーは、1935年の映画『ラジオパレード』や『海の息子たち』といった作品でカラーシーケンスに使用され、短編映画においても多くの作品がこの技術を利用しました。また、イギリスのムービートーン・ニュースの映像にも見られるように、実際の歴史的シーンのカラー化が試みられました。

しかし、その後の技術革新により、デュフェイカラーはスリーストリップ・テクニカラーなど、より高性能なプロセスに取って代わられることになりました。1977年には、ポラロイド社が同様の原理を用いたインスタントフィルム「ポラビジョン」を発表しましたが、商業的には失敗しました。

まとめ

デュフェイカラーは英国における初期のカラーフィルムプロセスとして重要な役割を果たし、写真や映画に革新をもたらしました。この技術は、当時のアマチュア写真家や映画制作者にとって、手軽にカラー画像を楽しむための手段となりました。

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