デルフィニウム属

デルフィニウム属について

デルフィニウム属（デルフィニウムぞく）は、キンポウゲ科に属する植物です。学名の「Delphinium」はギリシャ語の「Delphis」に由来し、イルカを意味します。この名の由来は、つぼみの形状がイルカに似ているからです。日本語では「ヒエンソウ属」と呼ばれ、これまでチドリソウ属（Consolida）として扱われていた植物も、現在ではヒエンソウ属として編入されています。

概要

デルフィニウムは、ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、および熱帯アフリカの山地を中心におおよそ1478種が分布しています。これらの植物は日当たりや風通しが良く、水はけの良い場所を好む特性があります。元々は多年草として育成されますが、日本の高温多湿な夏には耐えられないため、園芸業界では一年草として扱われることが多いです。

栽培を希望する場合は、種を用いて増やすことが可能です。発芽に適した温度は15～20℃であり、約2週間で芽が出てきます。開花後、一番花が終わりかける頃に花茎を剪定することで、二番花が楽しめることがあります。

デルフィニウムはアルカロイドの一種であるデルフィニンを含んでおり、摂取すると下痢や嘔吐を引き起こす原因となり、重症の場合は命に関わることもあります。このため、取り扱いには注意が必要です。

名前の由来と伝説

名前の由来である「デルフィン（イルカ）」に関しては、古代ギリシャに残る逸話が存在します。伝えられているところによると、エリシタンという海岸に住んでいた若者オルトープは釣りが得意で、毎日海で楽しんでいました。しかしある日、彼は巨岩から滑り落ちて海に沈んでしまいます。そこを通りかかったイルカが彼を助け、安全な場所に導くと、彼らの間には深い友情が芽生えました。

しかし、ある日漁師たちがイルカを捕まえようと計画を立てます。オルトープはイルカを助けるために逃がしますが、その代償として命を落としてしまいました。イルカたちは彼の死を嘆き、若者の魂が花として生まれ変わることを神に願ったと言われています。神はその友情の証を喜び、オルトープを飛燕草の花に変えました。このような伝説が、デルフィニウムの名の由来になっています。

主な種

デルフィニウム属にはいくつかの主な種があり、以下はその一部です：

• - チドリソウ (Delphinium ajacis L., 1753)
• - ヒエンソウ (Delphinium × cultorum Voss, 1894)
• - オオバナヒエンソウ (Delphinium grandiflorum L., 1753)
• - セリバヒエンソウ (Delphinium anthriscifolium Hance, 1868)

これらの植物は美しい花を咲かせ、庭園や公園で観賞用としての人気があります。デルフィニウムは、育て方や管理がしやすく、また美しい花を楽しめることから、多くのガーデニング愛好者に愛されています。

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