デンマーク国防軍

デンマーク国防軍：概要と組織

デンマーク国防軍（Forsvaret）は、デンマーク王国の軍事組織であり、陸軍、海軍、空軍の三軍と郷土防衛隊で構成されています。平時は国防大臣の文民統制下に置かれ、戦時には郷土防衛隊も統合されます。

組織と指揮系統

憲法上、国王が最高司令官ですが、実際の指揮は国防大臣が行います。国防軍司令官と国防軍司令部（FKO）が三軍を指揮し、郷土防衛隊はFKOと同格の組織として存在します。ただし、戦時には郷土防衛隊もFKOの指揮下に入ります。

デンマークには「総防衛」という概念があり、これは軍事力だけでなく、国民全体で国土を防衛するという考え方です。

目的と任務

国防軍の目的は、紛争と戦争の防止、デンマークの主権維持、人権尊重に基づく国際平和への貢献です。具体的な任務は以下の通りです。

NATOへの参加
デンマーク領土（グリーンランド、フェロー諸島を含む）の防衛
非NATO加盟国との防衛協力（特に中・東欧諸国）
国際平和維持活動への参加（紛争予防、危機管理、人道支援など）
総防衛への参加
上記任務遂行のための戦力維持

国際的な活動

デンマークは国際的な活動に積極的であり、湾岸戦争以降、コソボ、レバノン、ソマリア沖などへ部隊を派遣しています。

国防予算と兵力

国防予算は政府支出の中でも大きな割合を占めており、装備調達や維持、人件費などに充当されます。近年は、戦闘部隊の比率を高め、即応能力の向上を図っています。

徴兵制があり、18歳から32歳までの男子が対象ですが、良心的兵役拒否も認められています。

各軍の概要

陸軍: 冷戦終結後、国際活動に重点を置いています。
海軍: 沿岸防衛、海上交通の監視、海洋汚染対策、捜索救難の他、国際的な活動にも参加しています。
空軍: F-16戦闘機を運用しており、海軍航空隊の艦載機部隊が移管され、海空軍機は統合運用されています。
郷土防衛隊: 18歳以上の志願者で構成され、三軍の補助、インフラ維持、災害対策などを担当します。

デンマーク国防軍は、国土防衛だけでなく、国際社会の平和と安定にも貢献する重要な役割を担っています。

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