デンマーク大百科事典

デンマーク大百科事典

『デンマーク大百科事典』（デンマーク語: Den Store Danske Encyklopædi）は、デンマーク王国において広範かつ詳細な知識を提供する目的で企画・刊行された、同国を代表する包括的な百科事典です。この大規模プロジェクトは、デンマークの大手出版社であるギュルデンダル社（Gyldendal）の傘下に設立されたデンマーク国家百科事典会（Danmarks Nationalleksikon A/S）によって手掛けられました。

刊行の背景と紙媒体版

本百科事典の出版構想は、隣国スウェーデンで同時期にアウグスティヌス基金（Augustinus Fonden）の支援のもと進められていた国家百科事典編纂事業に触発され、具体化されたとされています。この隣国の成功事例が、デンマークにおける同様の国家的規模の百科事典の必要性を認識させ、刊行決定へと繋がりました。

紙媒体での刊行は、1994年に最初の巻が登場することによって始まりました。本文部分は全20巻で構成され、これは2001年までに順次刊行されました。その後、最新の情報を反映させるための補遺として、21巻目にあたる補遺巻が2002年に出版されました。そして、全体の検索性を高めるための索引巻が2冊（22巻、23巻）が2003年に最終巻として刊行され、これをもって全23巻、総項目数11万5000に及ぶ壮大な百科事典シリーズが完結しました。本百科事典の編集作業においては、ヨン・ルン（Jørn Lund）氏が主任編集者として中心的な役割を担いました。

デジタル化への展開

紙媒体版の完結後、時代の流れに合わせて本百科事典の内容をデジタル形式で提供する取り組みも進められました。まず、パーソナルコンピュータ環境での利用を可能にするため、CD-ROM版が開発・発売されました。

2004年には、マイクロソフト社のウィンドウズ（Windows）オペレーティングシステムに対応したCD-ROM版が市場に登場し、手軽に持ち運び、検索できるデジタル辞書として利用可能になりました。さらに、翌2005年には、アップル社のマッキントッシュ（Mac）オペレーティングシステムに対応したCD-ROM版も発売され、より多くのユーザーがデジタル形式で本百科事典の恩恵を受けられるようになりました。

そして、インターネットの普及に伴い、本百科事典の情報へのアクセスをさらに広げるため、オンライン版の公開が決定されました。2006年11月3日からは、インターネットを通じて誰でも本百科事典の膨大な情報にアクセスできるようになり、知識の共有と普及に大きく貢献しています。このオンライン版の登場により、最新情報の提供や改訂も柔軟に行えるようになり、常に鮮度の高い情報源としての価値を維持することが可能となっています。

『デンマーク大百科事典』は、その網羅的な内容と権威性により、デンマークにおける学術研究、教育、一般市民の情報ニーズを満たす上で、極めて重要な情報資源となっています。紙媒体、CD-ROM、そしてオンライン版と形態を変化させながら、デンマークの知識基盤を支え続けています。

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