デ・ハビランド DH.83 フォックス・モス

デ・ハビランド DH.83 フォックス・モス

デ・ハビランド DH.83 フォックス・モスは、1930年代初頭にイギリスで開発された複葉の軽旅客機です。この機体は、短距離国内線やフィーダー路線を運行するために設立された航空会社の需要に応える形で誕生しました。

開発の背景

1930年代に入ると、イギリスでは新たな航空会社が次々と設立され、国内の空の交通が活発化しました。そのため、手頃な価格で十分な性能を持った航空機の開発が求められた結果、フォックス・モスが登場しました。試作機が初飛行を果たしたのは1932年の3月であり、この機体はコスト削減を意識した多くの設計が施されています。

設計と特徴

フォックス・モスは、主翼や尾翼、降着装置などの部品を前モデルのタイガー・モスから流用していますが、新しく設計された胴体には4人乗りの客室を備え、後部には開放式のパイロット席が配置されています。この設計により、乗客は快適に空の旅を楽しむことができると同時に、操縦士はより良い視界を確保することができます。

生産と運用状況

フォックス・モスはイギリス国内で約100機が生産されたほか、オーストラリアやカナダでも製造されました。特に第二次世界大戦中には、イギリス空軍やオーストラリア空軍、ニュージーランド空軍に徴用され、戦後も少数の国々でその姿を見ることができました。1946年にはカナダのトロントに新たな生産ラインが設立され、胴体を強化しスライド式クーペ・トップを備えたDH.83Cが52機製造されています。

日本におけるフォックス・モス

日本では、東京瓦斯電気工業がフォックス・モスを輸入し、エンジンを国産の「神風」に換装したことで国産化も進みました。この機体は名称がKR-1/KR-2軽旅客機に変更され、20機ほどが生産されました。民間機として使用されるだけでなく、海軍でも輸送連絡機として活躍しました。また、三井物産が輸入した数機は、石川島飛行機で小型の患者輸送機に改装された後、陸軍に献納されて愛国号と呼ばれる機体として利用されました。

まとめ

デ・ハビランド DH.83 フォックス・モスは、1930年代の航空業界で重要な役割を果たした軽旅客機です。その耐久性や性能、そしてさまざまな用途での活躍は、当時の航空機の発展に寄与しました。満州事変時には、国民革命軍から鹵獲された機体も含め、さらに多様な運用がなされました。フォックス・モスの存在は、航空機の歴史においても一つの節目となるものでした。

要目

• - 全長: 7.85 m
• - 全幅: 9.41 m
• - 全高: 2.67 m
• - 自重: 499 kg
• - エンジン: デ・ハビランド ジプシー III 空冷直列4気筒ガソリン
• - 出力: 130 HP
• - 最大速度: 182 km/h
• - 航続距離: 579 km

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