デ・ハビランド・カナダ DHC-7

デ・ハビランド・カナダ DHC-7

デ・ハビランド・カナダ DHC-7は、カナダのデ・ハビランド・カナダ社によって開発された旅客機で、一般にはダッシュ 7と呼ばれています。この機体は、特に短い滑走路での離着陸が可能な特性を持つSTOL（Short Takeoff and Landing）機として設計されました。そのため、同クラスの旅客機においては珍しく、ターボプロップエンジンを4基搭載しています。1975年から1988年までの間に合計113機が生産されました。

概要

デ・ハビランド・カナダ社は、前のモデルであるDHC-6 ツインオッターの成功を受けて、1970年代には環境保護への関心が高まる中で新たな製品開発に取り組んでいました。特に、騒音規制が厳しくなり、DHC-6クラスの機体を利用していた航空会社が大型機を求めるニーズが高まっていました。こうした背景を受けて、同社は新たに50席級の大型機を開発することにし、DHC-7の設計が始まりました。これはDHC-6を基にしたバージョンアップであり、さまざまな技術的な改良が施されました。

DHC-7では、エンジンを双発から4発に増強し、プロペラブレードの改良に加えて、客室の与圧化や大型のT字尾翼の採用、さらに引き込み式の主脚やドーサルフィンも特徴として取り入れられています。これにより、エンジンの排気口を主翼の上面に配置することで騒音を軽減する工夫もされました。開発は1972年にスタートし、1975年の初飛行を経て、1978年にアメリカ合衆国のロッキーマウンテンエアウェイズによって商業航路に投入されました。

残念ながら、STOL性能を持つコミューター機に対する需要が予想を下回り、1988年には113機で生産が終了しました。さらなる性能向上を目指した DHC-7-200シリーズの開発も検討されましたが、デ・ハビランド・カナダ社がボンバルディアに買収された際に、その計画は頓挫しました。これには、4発機の製造と整備にかかるコストが影響していたと考えられています。

とはいえ、2006年8月の時点で、71機が世界中の航空会社において引き続き運用されており、一定の人気を誇っています。また、軍用型についてもいくつかの提案がありましたが、実際に採用されたのはカナダ、ベネズエラ、そしてアメリカのO-5電子偵察機（後にRC-7へ改称）でした。

さらに、DHC-7の後継機としては、現在ボンバルディアが製造しているDHC-8が存在します。DHC-7はその特異な設計と運用特性により、多くの航空機愛好家や業界関係者に記憶されています。

要目

• - 全長: 24.58m
• - 全幅: 28.35m
• - 全高: 7.98m
• - 空虚重量: 12,540Kg
• - 最大離陸重量: 20,000Kg
• - 翼面積: 80.0 m²
• - エンジン: P&W PT6A-50 ターボプロップエンジン 1,120馬力 × 4基
• - 航続距離: 1,400km
• - 最大速度: 436km/h（M0.36）
• - 離陸距離: 549m
• - 操縦乗員: 2名
• - 乗客数: 最大54名

DHC-7は、その独自の技術とデザインにより、旅客機の中でも特異な位置づけを持っています。

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