デーライトシンクロ

デーライトシンクロ撮影の技法

デーライトシンクロ、あるいは「日中シンクロ」とも呼ばれるこの撮影手法は、明るい背景と暗い被写体が同時に存在する場合において、両者の明度差を軽減するために使われます。特に昼間に逆光である人を撮影する際や、窓からの明るい光が入る室内での撮影において、その効果を発揮します。

撮影シナリオの理解

例えば、ISO感度100の条件でEV値が14の快晴の風景を考えています。このとき、シャッター速度を1/125秒に設定し、適正な絞り値はF11とします。しかし、風景の手前に立つ人物に逆光が当たっている場合、この設定では背景は適正に露出されますが、人物は真っ暗になってしまいます。このような状況で、人物を適正に露出させると、背景が白飛びしてしまいます。これは、カメラが映し出せる範囲（ラティチュード）が、肉眼で見る光景に比べて狭いために起こります。撮影するシーンが、同時に異なる明るさを持つ被写体を含んでいるとき、これを解決する手段の一つがデーライトシンクロです。

デーライトシンクロの設定方法

この技法を活用する際の基本的な考え方は、まず背景に適切な露出設定を行い、その後にフラッシュを使用して手前にいる暗い被写体を照らし出すというものです。これにより、背景と人物の露出を統一することが可能となります。また、この手法を応用するためにはフラッシュのガイドナンバーについての理解が必要です。

先程の例を用いるならば、ガイドナンバーが28のフラッシュを使用し、人物からの距離が3.5mであれば、適切な絞り値は次のように計算されます。

$$
a = rac{28}{3.5}
$$

この計算の結果、絞り値はF8となります。同じISO感度が100の条件でEV値が14のとき、F8に適合するシャッター速度は1/250秒です。したがって、カメラの設定はF8・1/250秒となるべきですが、注意が必要なのは、あまり速いシャッター速度を設定した場合、フラッシュ光との同期が取れず、「幕切れ」が発生する可能性がある点です。この場合、被写体の一部がフラッシュに照らされず、暗くなってしまいます。

自動化と現代の技術

最近では、これらの計算や設定が面倒だと感じる写真家のために、フラッシュとカメラが自動的に連動して撮影できる「ハイスピードシンクロ撮影」をサポートするカメラが多く登場しています。特にニコンやキヤノンのモデルが注目されていますが、価格が高いことや、長時間の連続撮影において発光部分がオーバーヒートするリスクがあるため注意が必要です。

まとめ

デーライトシンクロ撮影は、異なる明るさの被写体を効果的に撮影するための重要な技法です。適切に活用することで、昼間の撮影でも、美しい写真を得ることができるでしょう。カメラやフラッシュの設定を理解し、実際に練習することで、この技術をマスターすることが可能です。

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