トゥーロンの海戦

トゥーロンの海戦

1744年2月22日と23日、南フランス・トゥーロン沖の地中海で、トゥーロンの海戦が発生しました。この戦闘では、スペイン護送船団がイギリスの地中海艦隊に対抗し、苦戦を強いられながらも効果的な反撃を行いました。海戦の様相は、様々な艦船の参加と戦術、そしてその結果に大きな影響を与えた指揮官たちの決断によって複雑に展開されました。

戦闘の経過

戦闘は、午後1時30分から午後5時までの間に行われました。イギリス艦隊は、トマス・マシューズ提督の指揮のもと、30隻の戦艦を展開し、フランス・スペイン連合艦隊の後衛にあたる27隻のスペイン艦隊に攻撃を仕掛けました。このとき、フランス艦隊は戦闘から距離を取っており、後衛を務めていたスペイン軍が主に攻撃を受ける形となりました。

マシューズ提督は、オーストリア継承戦争における混乱に備えて、フランス艦隊に目を向けていました。午後5時には、双方が交戦をやめ、離脱しました。その後の2月23日も両艦隊は遠距離から砲火を交わしましたが、イギリスは前日への痛手を受けた上にフランス艦によるスペイン艦隊の支援が間近に迫ったため、結局撤退を決めました。

軍法会議

戦闘直後、後衛を指揮していたリチャード・レストック中将について軍法会議が開かれました。レストックはマシューズの指示に従い交戦することはなかったとし、戦列に加わる前に指示されるべきではなかったと主張しました。逆に、マシューズが自身で戦列を崩して敵艦隊を攻撃したことで軍紀を犯した可能性についてレストックは指摘しました。最終的には、レストックは無罪となり、マシューズをはじめ数名の士官が海軍から追放される事態となりました。この決定は、軍規の遵守と状況に応じた判断が求められることに一石を投じる結果となりました。

戦闘に参加した艦隊

この戦闘には、フランス・スペイン連合艦隊とイギリス艦隊の双方が数多くの艦船を投入しました。フランス艦隊は主に、ボレーやトロサなどの艦船で構成され、後衛を任されたスペイン艦隊はレアル・フェリペ艦を旗艦にしていました。一方、イギリス側の艦隊も各種の戦列艦を展開し、ドラゴンやロイヤル・オークなどが参加しました。

戦闘の影響

トゥーロンの海戦は、海軍の運用における軍規の重要性を再認識させる出来事となり、将来の海戦戦術にも影響を与えました。また、イギリス艦隊がこの戦闘で撤退を余儀なくされたことからも、フランス・スペイン連合の結束がいかに強固であったかを示す重要なポイントでもありました。

この歴史的な戦闘は、地中海地域の海上戦闘における航海戦術の変化と、それに伴う指揮官たちの戦略的判断の難しさを浮き彫りにしました。

もう一度検索