トッカンvs勤労商工会

あらすじ

『トッカンvs勤労商工会』は、高殿円による人気職業小説「トッカン」シリーズの第二作です。前作『トッカン -特別国税徴収官-』に続く物語で、主人公の鈴宮深樹（通称：ぐー子）が、国税徴収官として成長していく姿を描いています。

物語は、ぐー子が勤務する京橋税務署が京橋中央署に名称変更されたことから始まります。税務官4年目となったぐー子は、上司の鏡雅愛（通称：トッカン）の指導を受けながらも、一人で仕事を任されるようになります。しかし、鏡がいないことで自身の未熟さを痛感し、焦りを感じる日々を送っていました。

そんな中、大衆食堂「からかわ」の主人が、鏡に恫喝されたことが原因で自殺したという事件が発生します。遺族は、税務署の天敵である「勤労商工会」に協力を仰ぎ、反税務署デモを展開。ぐー子は、鏡を案じますが、鏡は事態を国税局に任せ、消極的な態度を取ります。鏡のピンチに立ち上がったのは、鏡の幼馴染である弁護士のジョゼ（本屋敷真事）と、ボディーガードの里見輝秋でした。彼らから、鏡の一件には裏があることを知らされたぐー子は、鏡を助けることを決意します。

一方、国税局の通達により、徴収課は免脱罪を担当することになり、ぐー子は「株式会社ホツマ」の計画倒産阻止を任されます。しかし、法律の壁に阻まれ、事態は難航。計画倒産を巡る欠損の危機は、新人の春路や署長の清里を巻き込み、大きな展開へと発展していきます。ぐー子は、これまでの出来事に関わってきた人々の「体裁」を目の当たりにし、自身の「すき間」を見つめ直すことになります。

登場人物

京橋中央税務署

鈴宮 深樹（すずみや みき）
本作の主人公。特別国税徴収官・鏡付き。通称「ぐー子」。
上司である鏡の出身地である栃木県を東北地方だと勘違いしている。
鏡 雅愛（かがみ まさちか）
特別国税徴収官。通称「トッカン」。
冷静で強引な差し押さえの姿勢から「京橋中央署の死に神」と呼ばれている。
栃木県出身で、愛郷心が強い。
鍋島 木綿子（なべしま ゆうこ）
第一徴収部門の上席。主に夜の繁華街を担当する。
釜池 亨（かまいけ とおる）
徴収第一部門徴収官。「ニートになりたい」が口癖。
金子 長十郎（かねこ ちょうじゅうろう）
徴収課統括官。全日本ロールケーキ連盟会長。
清里 肇（きよさと はじめ）
京橋中央税務署署長。定年退官が延期になった。
阿久津（あくつ）
京橋中央税務署副署長。
錦野 春路（にしきの はるじ）
第二徴収課徴収官。通称「はるじい」。登山が趣味。
実家は古美術商で、差し押さえ品に対する目利きが鋭い。
錨 貴理子（いかり きりこ）
第二徴収課徴収官。女子力が高い。

ぐー子・鏡の関係者

本屋敷 真事（もとやしき しんじ）
弁護士。鏡の幼馴染で元お笑い芸人。通称「ジョゼ」。
里見 輝秋（さとみ てるあき）
鏡の幼馴染。本屋敷のボディーガード。
実は財務省のキャリア。
相沢 芽夢（あいざわ めむ）
ぐー子の友人。
鈴宮 益二郎（すずみや ますじろう）
ぐー子の父親。和菓子屋を営む。
奈須野 縞子（なすの しまこ）
多額の滞納金を抱える老婦人。鏡を慕っている。

法曹関係者

吹雪 敦（ふぶき あつし）
勤労商工会顧問弁護士兼税理士。ぐー子からは「チワワ」と呼ばれる。
帯刀 周吾（たてわき しゅうご）
東京地裁民事第20部書記官。法律遵守のスタンス。
時雨沢 瑠璃（しぐれさわ るり）
東京地裁民事第20部裁判官。中性的な容姿。

税金滞納者（関係者含む）

唐川 成吉（からかわ せいきち）
大衆食堂「からかわ」店主。自殺してしまう。
唐川 詠子（からかわ えいこ）
成吉の妻。税務署を恨んでいる。
堂柿 三津男（どうがき みつお）
健康食品輸入会社「グリーンフーズ」の元経営者。偏屈な性格。
幾嶋 ツトム（いくしま つとむ）
* 「株式会社ホツマ」の真の社長。ドロップシッピング詐欺の常習犯。

作品のテーマ

本作では、「体裁」と「すき間」というテーマが根底にあります。登場人物たちは、それぞれの立場や環境の中で「体裁」を保ちながら生きています。しかし、その「体裁」の裏には、それぞれの「すき間」が存在します。ぐー子は、様々な人々の「体裁」と「すき間」に触れる中で、自身の未熟さと向き合い、成長していきます。

その他

本作は、税務署という特殊な職場を舞台に、人間ドラマを描いた作品です。税金滞納者との駆け引きや、法律の壁など、リアルな描写が魅力です。また、個性的な登場人物たちの掛け合いも、本作の魅力の一つです。

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