トップクォーク

トップクォーク

トップクォーク（記号: t）は、素粒子標準模型における第三世代のクォークの一つです。他のクォークに比べて非常に重いという特徴を持ちます。

概要

トップクォークは、+2/3の電荷を持ち、質量は約170 GeVと推定されています。これは他のクォークよりも遥かに大きく、金原子とほぼ同じ質量です。また、質量はヒッグス粒子よりも重いです。

1973年、小林誠と益川敏英は、K中間子のCP対称性の破れを説明するために、第三世代の素粒子の存在を提唱しました。1977年には、フェルミ国立加速器研究所のE288実験で、第三世代に属するボトムクォークが初めて発見されました。これを受けて、ボトムクォークと対になるクォークの存在が予測され、観測が期待されました。

しかし、トップクォークはその質量が非常に大きいため、発見は困難を極めました。存在が確実視されながらも、長らく観測されない状態が続いた後、1994年にフェルミ国立加速器研究所のCDF実験およびD0実験によって、ついにトップクォークが発見されました。この発見は、小林・益川両氏のノーベル物理学賞受賞に繋がりました(2008年)。

トップクォークは、主に強い相互作用を通じて他の粒子と相互作用しますが、崩壊する際には必ず弱い相互作用が関与します。ほぼ例外なくWボソンとボトムクォークに崩壊することが知られています。標準理論によれば、トップクォークの寿命は約1×10−25秒と極めて短く、強い相互作用が働く時間の1/20程度です。そのため、トップクォークはハドロンを生成せずに崩壊し、裸のクォークを観測する上で最適な粒子とされています。

特徴

質量: 非常に大きく、約170 GeV。
電荷: +2/3
相互作用: 主に強い相互作用、崩壊時には弱い相互作用
崩壊: ほぼWボソンとボトムクォークに崩壊
寿命: 約1×10−25秒

関連項目

クォーク
トップネス
トップクォーク凝縮
CKM行列

脚注

[参考資料]
素粒子標準模型
* フェルミ国立加速器研究所

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