トニー賞

トニー賞について

トニー賞（Tony Award）は、アメリカの演劇とミュージカルにおける最も権威のある賞の一つであり、正式には「アントワネット・ペリー賞」と称されます。アメリカン・シアター・ウィングと全米劇場プロデューサー連盟が主催しており、主にニューヨークのブロードウェイで行われる公演の中から選ばれた優れた作品やアーティストに与えられます。

歴史を振り返る

トニー賞は1947年に創設され、初期には11部門によって構成されていました。1949年からは演劇とミュージカルの部門が分かれ、それぞれに特化した賞が設けられました。この賞の名前は、アメリカン・シアター・ウィングの共同設立者であるアントワネット・ペリーに因んでおり、彼女の名前の短縮形である「トニー」が使われています。トニー賞は、映画界のアカデミー賞や音楽界のグラミー賞、テレビのエミー賞、文学・戯曲のピューリッツァー賞といった他の著名な賞と並ぶ存在として、アメリカの芸術界において重要な役割を果たしています。

毎年5月にはノミネート作品が発表され、6月には盛大な授賞式が行われます。この授賞式はCBSによって全米に生中継されるほか、日本ではWOWOWが独占生中継を行うため、多くのファンがこのイベントを楽しみにしています。過去にはNHK BSプレミアムでも日本語字幕付きで放送されていた時期があります。

1996年まではブロードウェイの劇場が持ち回りで受賞式を開催していましたが、1997年からはラジオシティ・ミュージックホールが恒久的な会場となりました。このホールは約6,000席を持ち、一般の観客もチケットを購入することで参加できるようになっています。ただし、2011年と2012年は特別な事情によりビーコン・シアターでの開催となり、一般の観覧ができない年もありました。さらに2020年には、新型コロナウイルスの影響で授賞式が延期され、例年とは異なる形での開催を余儀なくされました。

トニー賞の部門

トニー賞は、合計26の部門が用意されており、各作品やアーティストの才能を評価するために細分化されています。主要な部門には、演劇作品賞やミュージカル作品賞、主演男優賞や女優賞、演出賞、デザイン賞などがあります。これらの部門は、演劇とミュージカルそれぞれの特性に基づいた評価が行われることから、非常に多岐にわたります。

特別賞としては、特別功労賞や地方劇場賞、イザベル・スティーヴンソン賞などが設けられており、演劇界における優れた業績が認められる機会が提供されています。しかし、賞の数や名称は時代と共に変化しており、過去には新人賞や舞台技術賞などが存在しましたが、現在では廃止されているものもあります。

トニー賞は、アメリカの演劇界の発展を支える重要な存在であり、受賞者やノミネート作品はそれぞれのシーズンを象徴するものとなっています。この賞を受けることは、アーティストにとって非常に栄誉なことであり、演技や音楽、演出の面での競争が激しくなっています。

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