トマホーク (ミサイル)

トマホーク (BGM-109 Tomahawk)

トマホークは、アメリカ合衆国で開発された巡航ミサイルで、その多用途性から世界中で使用されています。特に対地攻撃と対水上攻撃の両方に対応でき、その性能は数十年にわたって進化してきました。

起源と開発の歴史

トマホークの開発は、1972年に始まりました。この時、アメリカ海軍は第一次戦略兵器制限条約（SALT I）を受け、核兵器運搬手段の確保の必要性を認識しました。国防長官メルヴィン・レアードは、従来のミサイルが制約を受けるため、より柔軟な核兵器投射手段を求め、海軍に対地攻撃用の長距離巡航ミサイルの開発を命じました。最初は大型のミサイルが検討されましたが、最終的にはより小型で潜水艦からも発射可能なデザインが選ばれました。

1974年からは競争が始まり、1976年にはジェネラル・ダイナミクスが設計を担うことになりました。その後、1977年には統合巡航ミサイル計画（JCMP）が始まり、空軍と海軍が共通の技術基盤でミサイルを開発することとなりました。

1980年になると、量産型BGM-109Aが発表され、水上艦と潜水艦の両方から発射可能な準備が整いました。これにより、トマホークは核弾頭を搭載した対地攻撃型と、通常弾頭の対艦型という2つの主要バリエーションが配備されました。この2つは「ブロックⅠ」として知られています。

トマホークのミッション

トマホークは主に対地攻撃と対水上攻撃のミッションに利用されます。ミサイルは、核弾頭と通常弾頭のどちらかを搭載し、その任務に応じて引き金を引かれます。その誘導システムは非常に精巧で、特に対地攻撃に関しては固体ロケットブースターと巡航中のターボファンエンジンを搭載し、高度情報をもとに地形を利用して目標に向かって飛行します。

対艦ミッションの場合は、TASM（対艦攻撃型トマホーク）が用いられます。こちらは、敵艦の位置を特定するためにアクティブおよびパッシブ捜索システムを使用しますが、TASMは1994年に退役しており、現在は新型であるブロックⅣが対艦能力を再び持つように設計されています。

発展型と最新技術

トマホークはその進化を続けており、ブロックⅡ、ブロックⅢ、ブロックⅣ、ブロックⅤといった様々なバリエーションがあります。これらはそれぞれ、精度の向上や、GPSによる誘導システムの追加、耐妨害機能の強化などの技術革新が盛り込まれています。バリエーションには、対艦攻撃を狙った新型のマリタイムストライク・トマホーク（MST）や、貫通力を強化した対地型のバリエーションも含まれています。

運用国と国際的関与

トマホークはアメリカだけでなく、イギリスやオーストラリア、日本などでも運用されています。最近では、日本がトマホークの導入を公式に決定し、防衛力の向上を図る姿勢を強調しています。また、トマホークは多くの軍事作戦に実際に使用されており、その結果、世界中での信頼性と能力が広く認知されています。

結論

トマホークは、数十年にわたる技術的革新を経て、現在の堅牢なミサイルシステムとしての地位を築いてきました。対地ミッションと対艦ミッションの両方に対応可能で、将来に向けても、さらなる発展が期待されています。

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