トマ・アンドラーシュ

トマ・アンドラーシュ：第二次世界大戦、最後の捕虜

トマ・アンドラーシュ（1925年12月5日 - 2004年3月30日）は、第二次世界大戦中にソ連軍の捕虜となり、その後53年もの間、ソビエト連邦およびロシアの精神病院に幽閉されたハンガリー人兵士です。「第二次世界大戦最後の捕虜」として知られています。

生涯

トマ・アンドラーシュは、ウーイフェヘールトーで生まれました。1944年、第二次世界大戦下、ナチス・ドイツの支配下にあったハンガリー軍に徴兵され、1945年初頭、ポーランドのクラクフでの戦闘でソ連軍の捕虜となりました。

精神病院での幽閉

トマはドイツ語もロシア語も理解できず、さらに身元を証明する書類を持っていなかったため、モスクワから700km離れたコテリニチの精神病院に収容されました。ハンガリー語で訴えましたが、病院関係者はハンガリー語を理解できず、トマは精神病者とみなされ、強制的な投薬治療を受けることになりました。ソビエト連邦崩壊後も、10年近く精神病院に幽閉され続けました。

奇跡的な解放

1999年末、病院を訪問したスロバキア人医師が偶然トマと面会し、彼が話す言葉がハンガリー語であると気づきました。これにより、トマがハンガリー人であることが判明し、釈放されることになりました。彼は「第二次世界大戦最後の捕虜」として、国民的英雄として祖国ハンガリーに帰国しました。

帰国後

しかし、53年間にも及ぶ精神病院での投薬治療は、トマの心身を蝕んでいました。薬物の影響により、自分の名前さえまともに言うことができなくなっていました。帰国後、80人以上の人々がトマの親戚であると名乗り出ましたが、DNA鑑定の結果、実の妹であることが判明した女性と、トマは晩年を共に過ごしました。

2004年3月30日、トマ・アンドラーシュはニーレジハーザで78歳で亡くなり、同地に埋葬されました。彼の生涯は、戦争の悲劇と、人間の尊厳について深く考えさせられる出来事として、記憶されています。

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