トミー・ウォルター

トーマス・エドワード・ウォルター：音楽の探求者

トーマス・エドワード "トミー" ウォルター（Thomas Edward "Tommy" Walter、1970年10月30日 - ）は、カリフォルニア州サウザンドオークス出身のアメリカ合衆国の音楽家、ソングライターです。彼は自身のバンドであるアバンダンド・プールズ（Abandoned Pools）の創設者であり、また、結成メンバーであったイールズ（Eels）の元ベーシストとして広く知られています。

生い立ちとイールズ時代

ウォルターは、カリフォルニア州ウェストレイクビレッジで、飛行機パイロットの父とスチュワーデスの母の間に生まれました。父親はカナダ出身で、ウォルターが生まれた時には既に46歳でした。質素な中流家庭で育った彼は、幼い頃からベースギターを演奏し始め、大学在学中はフレンチホルンを学びました。南カリフォルニア大学を卒業後、パシフィック大学の大学院に進学し、西洋音楽理論を教える傍ら、地元のロサンゼルスの音楽家たちと交流しました。

シンガーソングライターのマーク・オリヴァー・エヴェレット（通称 "E"）、ジョナサン・ノートンと出会い、イールズを結成。エヴェレットはイールズ結成以前に、既に2枚のレコードを「E」名義で発表していました。バンド名はEのソロ作品の隣に並べられるような名前にすることを意図していましたが、イーグルスなどの既存のバンド名との兼ね合いから、その目論見は実現しませんでした。

イールズでは、新曲の制作だけでなく、Eがそれまでに作曲した楽曲の改良にも取り組みました。1996年にはデビュー・アルバム『ビューティフル・フリーク』を発表。しかし、1年に及ぶツアーの後、ウォルターはバンドを脱退します。その理由は、Eの人間性に馴染めなかったこと、そして『ビューティフル・フリーク』の成功以前の制作におけるジョナサンと彼自身の貢献が正当に評価されなかったことだと、後のインタビューで語っています。

アバンダンド・プールズの結成と活動

イールズ脱退後、ウォルターはすぐにメトロマックス（Metro-max）というバンドを結成。その後、バンド名をテリー（Terry）に改名し、インターネットを通じてアルバムを発表しましたが、大きな成功には至りませんでした。このバンドを発展させる形で、彼はソロ・プロジェクトであるアバンダンド・プールズを立ち上げました。

ヒューマニスティック（2001年 - 2004年）

新曲に加え、テリー～メトロマックス時代に制作した楽曲も収録したソロ・アルバム『ヒューマニスティック』を2001年にエクスタシー・レコード・インターナショナルから発表しました。このアルバムには、フレンテ!（Frente!）などのゲスト・ミュージシャンが参加し、フレンテ!は「スタート・オーヴァー」「ルーイン・ユア・ライフ」「サニー・デイ」「シード」でバッキング・ボーカルを務めました。

アバンダンド・プールズはソロ・プロジェクトとして活動しながらも、リア・ランディとブライアン・ヘッドがそれぞれベースとドラムスを演奏する形でライブ活動も行いました。いくつかのツアーを成功させ、ガービッジやア・パーフェクト・サークル、レニー・クラヴィッツらとともにヘッドライナーを務めることもありました。また、『ザ・レイト・レイト・ショー』に出演し、「マーシー・キス」「レメディー」の2作のビデオも発表。ツアーの様子を収めたビデオ「モンスター」は長らく公開されていませんでしたが、MTVの公式ウェブサイトを通じて公開されました。

2002年には、MTVで放送されたテレトゥーンのアニメ番組『クローン・ハイ』のテーマソングを担当。番組のバッキングでは多くのアバンダンド・プールズの楽曲が使用されました。ウォルターは最終回で本人役の声優も務めています。『クローン・ハイ』の開始後、主にエクスタシー・レコード・インターナショナルの解散を理由にツアーが中止となりました。

アームド・トゥ・ザ・ティース（2005年 - 2007年）

ファンとの交流を続けながら、ウォルターは新アルバムに収録するための新曲制作に数年間を費やしました。やがてユニバーサル・レコードと契約し、新アルバムのために私生活や政治的主張を主なインスピレーションにした新曲を制作しました。

再びブライアン・ヘッドと組み、ギタリストにシーン・ウールステンハルムを迎えて、2004年に新アルバムのレコーディングを開始。2005年6月には数曲の新曲とB面、デモを集めたEP『ザ・リバーブ・EP』、同年9月には2作目のアルバム『アームド・トゥ・ザ・ティース』を発表しました。

2006年1月、ウォルターは自身のオンライン・ジャーナルで、ユニバーサル・レコードがこのアルバムのプロモーションを中止したことを明らかにしました。その後ユニバーサルを離れ、アバンダンド・プールズは再びワンマン・プロジェクトに戻りました。以降、オルタナティブ・ロック・バンドのグレイシャー・ハイキングと、エレクトロニカ・プロジェクトのオリバー・ザ・ペンギンという2つのサイド・プロジェクトを立ち上げました。

サブライム・カレンシー（2011年 - 2012年）

『サブライム・カレンシー』からのシングルとして、2011年3月3日に「イン・サイレンス」、同年6月7日に「マリーゴールド」を発表。いずれも全ての音楽配信サイトで販売されました。

2012年1月30日には、新たにトゥース・アンド・ネイル・レコードと契約し、アルバム『サブライム・カレンシー』をこのレーベルからリリースすることを発表しました。

2012年5月17日、アルバム『サブライム・カレンシー』が11曲構成であることを発表。同年7月10日には、『サブライム・カレンシー』の発売日が2012年8月28日になることと、アルバムのアートワークを公開しました。

2012年7月26日、アルバムのタイトル曲「サブライム・カレンシー」が『オルタナティヴ・プレス』の公式ウェブサイトで先行公開されました。同年8月14日には、アルバムからの3枚目のシングルとして「サブライム・カレンシー」を発表。翌15日には、収録曲の「アンリハーサルド」がRCRD LBLにおいて無償ダウンロード開始。同年8月22日には、収録曲の「ベヒーモス」がCMJの公式ウェブサイトで先行公開されました。

2012年8月28日にアルバム『サブライム・カレンシー』を発表。シングル「サブライム・カレンシー」のミュージック・ビデオは同年9月7日に公開されました。

ソムナンビュリスト（2013年 - 現在）

2013年6月6日にアバンダンド・プールズの公式ツイッターアカウントで、新たなアルバム『ソムナンビュリスト』が2013年7月2日にリリースされると発表されました。その後、リリース日が2013年7月9日に延期されたことが発表されました。

2013年11月26日に発売されたアルバム『ハイプ・ミュージック・プレンゼンツ・ホリデイズ Vol. 1』には、クリスマス・ソング「牧人ひつじを」のアバンダンド・プールズによるカバーが収録されました。

ウォルターの音楽への探求は、イールズでの活動からアバンダンド・プールズ、そして数々のサイド・プロジェクトへと広がり、彼の創造性は常に進化し続けています。

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