トム・パリス

トーマス・ユージン・パリス：型破りな操舵士、その光と影

トーマス・ユージン・パリス、通称トム・パリスは、『スタートレック:ヴォイジャー』に登場する、一筋縄ではいかない魅力的なキャラクターです。ロバート・ダンカン・マクニールが演じ、日本語吹き替えは森川智之が担当しました。彼は、提督を父に持つ宇宙艦隊士官でありながら、挫折と贖罪を経てヴォイジャーのクルーとなる、複雑な背景を持つ人物です。

エリートからの転落、そしてヴォイジャーへ

パリスは、名門の家柄に生まれ、自身も宇宙艦隊に進みます。しかし、エリートとしての重圧に押しつぶされ、自身の過失による事故で同僚を失ったことがきっかけで、反カーデシア組織「マキ」に身を投じることになります。マキとしての活動中に逮捕され、惑星連邦の刑務所に収監されるという転落を経験します。

そんな彼に転機が訪れたのは、キャスリン・ジェインウェイ艦長との出会いです。バッドランドで行方不明となったマキの宇宙船を捜索するため、ジェインウェイはパリスの操縦技術とマキの情報に着目し、彼をオブザーバーとしてU.S.S.ヴォイジャーに迎え入れます。しかし、ヴォイジャーはケアテイカーによってデルタ宇宙域に飛ばされるという大事故に遭遇。主任操舵士官の殉職により、パリスはヴォイジャーの操舵を担うことになります。

操舵士として、医療助手として

ヴォイジャーでは、操舵士としてだけでなく、医療助手としてもその才能を発揮します。医療部員全員が殉職したため、パリスは緊急用医療ホログラム（EMH、ドクター）の助手として、簡単な医療行為をこなすことになります。もっとも、本格的な治療はドクターやケスに任せることになりますが。

性格はいい加減で気分屋な面があり、遅刻も多いですが、パイロットとしての腕は確かです。第31話「限界速度ワープ10 — THRESHOLD」では、艦隊史上初となるトランスワープ航法でのワープ10を経験します。（ただし、ワープ10の影響によるDNA変化が起こっており、成功と言えるかは議論の余地があります。）

父親との葛藤、そして成長

パリスは、提督である父親へのコンプレックスを抱えながらも、内心では父親に認められたいという思いを持ち続けています。ヴォイジャーでは、トゥヴォックに次ぐ４番目の地位にあり、上位二人が不在の際には副長代理を任されることもあります。

階級は当初は中尉でしたが、規約違反により少尉に降格された後、反省が認められて中尉に復帰するという、波乱万丈な経歴を持ちます。チャコティなどのマキ構成員とは異なり、正式な宇宙艦隊の階級を与えられています。

ホログラム作家としての才能

U.S.S.ヴォイジャーでは、パイロットとして活躍するだけでなく、ホログラム作家としてもその才能を発揮します。20世紀の地球をテーマにしたホログラム作品は、地球への帰還を待ち望むクルーたちの心を癒しました。

その後

シリーズ終了から20年後、『スタートレック:ローワー・デッキ』にゲスト出演。宇宙艦隊に復隊し、大尉に昇進している姿が描かれました。かつての型破りな士官は、時を経て成長を遂げたのです。

ベラナ・トレスとの愛

ベラナ・トレスとは恋愛関係となり、最終的には結婚。最終回では、娘ミラルを出産します。

まとめ

トーマス・ユージン・パリスは、挫折と贖罪、そして愛を通して成長していく、人間味あふれるキャラクターです。彼の物語は、スタートレックのテーマである「希望」と「多様性」を体現していると言えるでしょう。

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