トム・ファン・デ・ローイ

トム・ファン・デ・ローイ（Tom van de Looi）は、1999年7月2日にオランダ北ブラバント州の都市ブレダで生を受けたプロサッカー選手である。主にミッドフィールダーとしてプレーしており、現在はイタリアのセリエBに所属するブレシア・カルチョの一員として活躍している。

クラブキャリア

地元のNACブレダのユースで育った後、FCフローニンゲンのアカデミーへ移籍し、才能を磨いた。2017年にはトップチームへと昇格し、プロのキャリアを本格的にスタートさせる。トップチーム昇格後、ほどなくして公式戦デビューの機会が訪れる。

2018年1月21日に行われたヴィレムIIとの試合で、ファン・デ・ローイはプロとしての第一歩を踏み出した。このデビュー戦でいきなりスターティングメンバーに抜擢されるという、若手としては異例の起用に応え、以降はチームのスターティングメンバーとしての地位を確立していく。2017-18シーズンの後半戦だけで、彼はリーグ戦16試合にわたり先発出場し、チームの中盤を支える重要な存在となった。続く2018-19シーズンも主力の一人としてプレーを続け、リーグ戦では18試合に出場するなど、着実に経験を積み重ねた。

更なる出場機会と成長の場を求め、2019年8月14日にはオランダ国内の別のクラブへの期限付き移籍が発表された。移籍先は、オランダの2部リーグにあたるエールステ・ディヴィジに所属するNECナイメヘンである。NECでは2019-20シーズンの間プレーし、エールステ・ディヴィジで合計19試合に出場した。この移籍期間中には、プロキャリアにおいて記憶すべき瞬間が訪れる。2019年11月22日に行われたヘルモント・スポルト戦で、彼はプロ入り後初となるゴールを記録し、自身の攻撃的な能力も証明してみせた。NECでの経験は、彼にとって選手としての幅を広げる貴重な機会となった。

NECでの期限付き移籍期間を終えた後、ファン・デ・ローイは新たな挑戦の舞台を海外に求めることを決意する。2020年9月14日、イタリアのセリエBに所属するブレシア・カルチョへの完全移籍が正式に発表された。ブレシアとは2023年までの契約を結んだことが伝えられている。イタリアというサッカーの戦術レベルが高い国でのプレーは、彼にとって大きな刺激となり、自身の技術や戦術理解度を向上させる機会となっている。セリエBの激しい競争の中で、チームの中盤を支える選手として日々努力を続けている。

代表キャリア

国際舞台では、オランダの世代別代表としてプレーした経験を持つ。2016年から2019年にかけての3年間、様々なカテゴリーのユース代表チームに選出され、国の代表としてピッチに立った。将来のA代表入りも期待される若手として、国際試合での経験は彼のキャリアにとって大きな財産となっている。

人物・エピソード

トム・ファン・デ・ローイのキャリアにおいて、特に注目すべきエピソードとして語られるのが、彼のプロデビュー戦にまつわる出来事である。2018年1月21日に行われたヴィレムII戦でプロデビューを飾った彼だが、対戦相手であるヴィレムIIの指揮を執っていたのは、実の父親であるエルウィン・ファン・デ・ローイ氏であった。選手として出場する息子と、その息子が属するチームと戦うチームを率いる父親という、希有な「親子対決」が実現し、オランダ国内のサッカー界で大きな話題を呼んだ。プロフェッショナルとしての立場と、家族としての想いが交錯するこの一戦は、ファン・デ・ローイのキャリア初期における最も印象的な出来事の一つとして、多くの人々の記憶に残っている。

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