トム・モルドヴェイ

トム・モルドヴェイ：ダンジョンズ&ドラゴンズの初期を支えたゲームデザイナー

トム・モルドヴェイ（1949年 - 2007年3月9日）は、ゲームデザイナーおよび作家として知られ、特に初期のファンタジー・ロールプレイングゲーム、ダンジョンズ&ドラゴンズ（D&D）における仕事で高く評価されています。

TSR社での貢献

モルドヴェイはTSR社に在籍中、数々の画期的な冒険モジュールを手がけました。その代表的な作品には、

Castle Amber
The Isle of Dread
Palace of the Silver Princess（改訂版）
Secret of the Slavers Stockade

などが挙げられます（すべて1981年出版）。中でも『X1 The Isle of Dread』は、当時最も広くプレイされたモジュールの一つであり、D&Dエキスパート・ルール・セットに同梱されました。これにより、さらに多くのプレイヤーに親しまれることとなりました。

1981年には、D&Dベーシック・セットの大規模な改訂を担当し、発行以来初めての内容刷新を行いました。この改訂は、D&Dの入門層にとって非常に重要な役割を果たし、ゲームの普及に大きく貢献しました。モルドヴェイが手がけたその他のD&Dモジュールとしては、『The Lost City』（1982年）や『Twilight Calling』（1986年）があります。

1980年から1988年の間には、ドラゴン誌に記事を執筆するなど、D&D関連の様々な活動に携わりました。ミスタラ・セッティング（その後のD&D製品の多くに組み込まれた）に存在する架空の都市Yavdlomは、モルドヴェイへの敬意を表して名付けられたものであり、Moldvayを逆から読んだものとなっています。

その他のゲーム作品

モルドヴェイはD&D以外にも、TSRのGangbustersロールプレイングゲームの共同執筆や、TSRのStar Frontiersゲームの冒険執筆、アバロンヒルから出版されたゲームLords of Creationの周辺作品の展開など、幅広いジャンルのゲームに関わりました。

1985年には、アーサー王伝説をテーマにした単発のゲーム『The Future King』を制作。1986年には、AD&Dのプレイヤーズハンドブックを8ページに簡略化した「Challenges Game System」を作成し、そのシステム用の冒険『Seren Ironhand』を発表しました。

SFファンとしての側面

1970年代、オハイオ州のケント・ステート大学の学生時代には、伝説的なSFファン雑誌『Infinite Dreams』の作家としても活動していました。この経験は、彼のゲームデザインにも影響を与えたと考えられます。

死去と遺産

トム・モルドヴェイは2007年3月9日、58歳でこの世を去りました。彼の死後、スティーブ・ウィンターは『The Isle of Dread』を「最も広範囲な影響を持っていたトムの作品」と評し、エキスパート・セットに同梱されたことが「これを長年の間最も広く知られ、最も遊ばれた冒険にした」と述べました。

モルドヴェイのD&Dへの貢献は計り知れず、彼の作品は今もなお多くのプレイヤーに愛され続けています。

参考文献

* Dragonsfoot Tom Moldvay Bibliography

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