トヨタ・C+pod

トヨタ C+pod：都市を彩る超小型EV

トヨタC+podは、かつてトヨタ自動車が製造・販売していた超小型EVです。そのコンパクトなサイズと環境性能から、都市部での近距離移動に適したモデルとして注目されました。2人乗りという割り切った設計ながら、最新の技術と安全装備を備え、新たなモビリティの可能性を示唆しました。

概要

C+podは、全長2,490mm、全幅1,290mm、全高1,550mmという超小型モビリティ規格に収まるサイズで、軽自動車よりもさらにコンパクトです。最小回転半径は3.9mと小回りが利き、狭い道でも運転しやすいのが特徴です。床下にはリチウムイオンバッテリー、車体後部にはモーターを搭載し、WLTCモードで150kmの航続距離を実現しています。最高速度は60km/hに制限されており、高速道路を利用しない近距離移動を想定した設計となっています。

特徴

デザイン

軽量化のため、ボディには樹脂が多用されています。ルーフやバンパーの一部には無塗装の黒色樹脂を使用し、ヘッドランプとリアコンビネーションランプにはLEDを採用。ボディカラーは、ツートーンカラー5色、スリートーンカラー3色を含む全8色が用意され、個性的なスタイリングを演出しています。

充電

充電は、左右ヘッドライト間の充電ポートと家庭用コンセントを接続して行います。AC100V/6Aで約16時間、AC200V/16Aで約5時間で充電が完了します。また、AC100V/最大1500Wの外部給電機能も備えており、災害時などには非常用電源としても活用できます。

安全装備

安全装備も充実しており、昼夜間の歩行者や昼間の自転車運転者を検知する衝突回避支援機能、ミリ波レーダーと単眼カメラ方式のプリクラッシュセーフティシステムを標準装備。超小型モビリティ向けに新設された安全基準にも適合しており、衝突時のエネルギーを効率的に分散する構造を採用しています。

販売・リース

C+podは、当初法人と自治体向けに限定販売され、その後個人向けのリースも開始されました。購入ではなくリース販売としたのは、購入費の負担を軽減するとともに、車両を確実に回収し、搭載バッテリーのリデュース・リユース・リサイクルを推進するためです。

パワートレイン

駆動ユニット

リアには、アイシン精機（現アイシン）が開発した駆動ユニットを搭載。プリウスのE-Fourに搭載された駆動ユニットをベースに、ギアトレーンを小型化し、C+podの狭い車幅に搭載できるように設計されています。モーターは、プリウスの誘導モーターから永久磁石同期モーターに変更され、最高出力9.2kWを確保しています。

電子制御

デンソーテン製の車両統合制御電子機器 (VCU) を採用。電源、駆動力、ボディを個別のECUで制御するのではなく、統合制御することで、小型軽量化と電費向上に貢献しています。

導入事例

C+podは、そのコンパクトさと環境性能から、様々な分野で活用されました。

公用車: 豊田市のエコフルタウンに導入され、次世代自動車のPRに活用されました。
訪問診療: 愛知県豊田市では、訪問診療用の車両としてC+podが導入されました。
カーシェアリング: 福岡県糸島市や比叡山ドライブウェイなどでカーシェアリングの実証実験に活用されました。また、インドネシアのバリ島でも観光客向けのモビリティとして提供されました。
リリーフカー: 阪神甲子園球場では、リリーフカーとしてC+podが使用されました。

生産終了

C+podは、2024年7月19日に生産を終了し、同年8月9日に販売を終了しました。しかし、そのコンセプトと技術は、今後の超小型EVの開発に活かされることが期待されます。

車名の由来

C: Compact, Communication, Connectの頭文字。
Pod: 英語で「蚕のまゆ」を意味する。

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