トヨタ・JZエンジン

トヨタ JZ エンジン：直列6気筒の名機

トヨタJZエンジンは、1990年にトヨタ自動車がM型エンジンの後継として開発した直列6気筒DOHCエンジンです。1980年代後半から1990年代後半にかけて、トヨタの多くの乗用車に搭載され、その高性能さから多くのファンを魅了しました。現在ではV6のGRエンジンが後継となっていますが、補給用エンジンとしての製造は続けられています。使用燃料はすべて無鉛プレミアムガソリンです。

JZエンジンの特徴

JZエンジンは、ポート噴射仕様の経済性重視型である「FE」型が世代を通して存在しないことが特徴です。経済性重視型としては、後に直噴仕様の「FSE」型が登場しました。このエンジンは、LASRE（Light-weight Advanced Super Response Engine）として開発されたため、エンジン全体はコンパクトなサイズでありながら、燃焼室の形状やバルブ径などに工夫が凝らされています。これにより、エンジン高さを抑え、ショートストローク設計を可能にし、高い剛性を実現しています。

1JZ系エンジン

共通事項

タイプ：直列6気筒DOHC 24バルブ
排気量：2.491L
内径×行程：86.0×71.5mm

1JZ-GE

第1世代
圧縮比：10.0
出力：132kW(180PS)/6,000rpm、235N・m(24.0kg・m)/4,800rpm
第2世代（VVT-i仕様）
タイプ：直列6気筒DOHC 24バルブ VVT-i
圧縮比：10.5
出力：
(1)144kW(196PS)/6,000rpm、255N・m(26.0kg・m)/4,000rpm (4WD仕様排ガス対策後)
(2)147kW(200PS)/6,000rpm、250N・m(25.5kg・m)/4,000rpm
(3)147kW(200PS)/6,000rpm、255N・m(26.0kg・m)/4,000rpm

1JZ系エンジンの中で最も基本的なエンジンで、ターボ仕様、直噴仕様、排気量拡大エンジン（2JZ）のベースとなりました。DOHCが基本設定である点が特徴です。

主な搭載車種：マークII、ソアラ、チェイサー、クレスタ、プログレ、クラウンセダン、クラウン、クラウンステーションワゴン、クラウンエステート、マークIIブリット、ヴェロッサ

1JZ-GTE

第1世代
特記事項：インタークーラーツインターボ
圧縮比：8.5
出力：206kW(280PS)/6,200rpm、363N・m(37.0kg・m)/4,800rpm
第2世代（VVT-i仕様）
特記事項：VVT-i インタークーラーターボ
圧縮比：9.0
出力：206kW(280PS)/6,200rpm、378N・m(38.5kg・m)/2,400rpm

1JZ-GEをベースに、ヤマハ発動機がシリンダーヘッドの再設計を担当したエンジンです。生産体制も他のJZエンジンとは異なり、トヨタ自動車田原工場で加工部品を製造し、ヤマハ発動機がアッセンブリを担当していました。

主な搭載車種：マークII、チェイサー、クレスタ、ヴェロッサ、クラウン、クラウンエステート、マークIIブリット、ソアラ、スープラ

1JZ-FSE

特記事項：VVT-i ハイメカツインカム
圧縮比：11.0
出力：147kW(200PS)/6,000rpm、250N・m(25.5kg・m)/3,800rpm

主な搭載車種：マークII、ヴェロッサ、ブレビス、プログレ、クラウン、クラウンエステート、マークIIブリット

2JZ系エンジン

共通事項

タイプ：直列6気筒DOHC 24バルブ
排気量：2.997L
内径×行程：86.0×86.0mm

2JZ-GE

第1世代
圧縮比：10.0
出力：
(1) 169kW(230PS)/6,000rpm、284N・m(29.0kg・m)/4,800rpm
(2) 162kW(220PS)/5,800rpm、279N・m(28.5kg・m)/4,800rpm
(3) 166kW(225PS)/6,000rpm、284N・m(29.0kg・m)/4,800rpm
第2世代（VVT-i仕様）
特記事項：VVT-i
圧縮比：10.5
出力：
(4) 162kW(220PS)/5,600rpm、294N・m(30.0kg・m)/4,000rpm
(5) 169kW(230PS)/6,000rpm、304N・m(31.0kg・m)/4,000rpm
(6) 158kW(215PS)/5,800rpm、294N・m(30.0kg・m)/3,800rpm
(7) 162kW(220PS)/5,800rpm、294N・m(30.0kg・m)/3,800rpm

1995年にVVT-iを採用したエンジンです。

主な搭載車種：
1991 クラウン/クラウンセダン/クラウンマジェスタ/アリスト (1)
1992 マークII/チェイサー/クレスタ (2)
1993 レクサスGS300 (S140系) (2) ※北米販売車
1993 スープラ (3)
1994 ソアラ (3)
1995 クラウン/クラウンセダン/クラウンマジェスタ (4)
1996 マークII/チェイサー/クレスタ (4)
1997 アリスト (5)
1997 ソアラ (5)
1998 プログレ (6)
2000 オリジン (6)
1998 レクサスGS300 (S160系) (7) ※北米販売車
1999 レクサスIS300 (XE10系) (7) ※北米販売車
2001 アルテッツァジータ (7)

2JZ-GTE

第1世代
特記事項：インタークーラーツインターボ
圧縮比：8.5
出力：206kW(280PS)/5,600rpm、432N・m(44.0kg・m)/3,600rpm
第2世代（VVT-i仕様）
特記事項：VVT-i インタークーラーツインターボ
圧縮比：8.5
出力：206kW(280PS)/5,600rpm、451N・m(46.0kg・m)/3,600rpm

2JZ-GEのターボ仕様で、「トヨタ最強エンジン」とも呼ばれる名機です。シーケンシャルツインターボシステムを採用しており、チューニングベースとしても人気があります。

主な搭載車種：アリスト、スープラ

2JZ-FSE

特記事項：VVT-i ハイメカツインカム
圧縮比：11.3
出力：
162kW(220PS)/5,600rpm、294N・m(30.0kg・m)/3,600rpm
147kW(200PS)/5,000rpm、294N・m(30.0kg・m)/3,600rpm

主な搭載車種：ブレビス、プログレ、クラウン、クラウンマジェスタ、クラウンエステート

1JZ-FSE・2JZ-FSEエンジンの保証について

2008年1月、トヨタ自動車は、1JZ-FSEおよび2JZ-FSEエンジンにおいて、長時間のアイドリングなど特定のエンジン回転域を多用する運転により、インテーク側にカーボンが堆積し、アイドル不調が発生する可能性があるとして、保証期間を通常の5年から9年（走行距離無制限）に変更しました。これは、ガソリン直噴エンジンに共通する問題であり、使用状況や経年変化によってススの堆積、燃費の悪化、アイドリング不安定、エンストなどの不具合が発生する可能性があります。

まとめ

トヨタJZエンジンは、その高い性能と信頼性から、多くのファンに愛され続けている名機です。現在では後継のGRエンジンが登場していますが、JZエンジンの人気は衰えることはありません。その多様なバリエーションと、各エンジンが搭載された車種の歴史は、自動車史に深く刻まれています。

関連項目

トヨタ自動車
トヨタのエンジン型式命名規則
トヨタのエンジン系列名
トヨタのエンジン型式一覧

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