トヨタ・TF105

トヨタ・TF105の概要

トヨタ・TF105は、トヨタが2005年のF1世界選手権に参戦するために開発したフォーミュラ1カーであり、デザイナーはマイク・ガスコインでした。このマシンは開幕戦から最終戦までの全レースに出場し、トヨタのレーシングチームにとって重要な存在となりました。

開発の背景と特徴

TF105は、テクニカルディレクターに就任したガスコインの指揮のもと設計が進められました。前年のモデルであるTF104Bからの開発を早期に終え、新型マシンの準備に多くの時間が割かれました。2005年シーズンには、新しいレギュレーションが導入され、特に「ダウンフォースの削減」や「2レース1エンジン」、さらには「予選および決勝中のタイヤ交換禁止」といった大きな変更がありました。

TF105は、これらの新たなルールに柔軟に対応できるよう設計されました。フロントウィングは中央部が湾曲しており、サイドポンツーンの前方にはポッドフィンが配置され、さらに大型のチムニーダクトやエンジンカウルにはミッドウィングが追加されるなど、空力的な工夫が施されています。

TF105Bへの進化

シーズンの後半に入ると、TF105Bが導入されました。この改良型ではフロントサスペンションが変更され、TF105までのシングルキールから、マクラーレン・MP4-20に倣ったゼロキール方式へと変更されました。しかし、モノコックはTF105と同じであったため、シングルキールの突起は残りました。この改良は、翌年に向けた先行開発も意図されていました。

2005年シーズンの成績

2005年シーズンは、前年の最終戦からチームに加わったヤルノ・トゥルーリと、ウィリアムズから移籍したラルフ・シューマッハのドライバーコンビでスタートしました。シーズン開催の第2戦マレーシアGPでは、トゥルーリがチームにとって初めての表彰台を獲得し、続く第3戦バーレーンGPでも再び2位に入ったことで、好スタートを切ることができました。

しかし、シーズン中盤からはマクラーレンが勢いを増したことから、少しずつ陰りが見えてきました。とはいえ、目立ったマシントラブルは少なかったため、安定した成績を保つことができました。第9戦アメリカGPでは、トゥルーリがチーム初のポールポジションを獲得したものの、決勝においてタイヤのトラブルが発生し、他のミシュランユーザーチームと共にレースを棄権する結果となりました。

その後は2度の表彰台を獲得し、特に地元日本GPではシューマッハがポールポジションを獲得しつつも、最終的には8位に終わりました。しかし、チームはこのシーズンで88ポイントを獲得し、創設以来最高のコンストラクターズランキング4位を達成しました。

スペックと記録

• - シャーシ名: TF105
• - タイヤ: ミシュラン
• - エンジン名: トヨタRVX-05
• - 気筒数・角度: V型10気筒・90度
• - 排気量: 3,000cc
• - 燃料・潤滑油: エッソ

このように、トヨタ・TF105は2005年シーズンを通じて数々の成績を残し、フォーミュラ1におけるトヨタの存在感を大いに高めたモデルとなりました。

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