トラサルディ

トラサルディ：イタリアを代表するファッションブランドの軌跡

トラサルディ (Trussardi) は、1911年、イタリアでダンテ・トラサルディによって創業された、世界的に有名なファッションブランドです。当初は革手袋の製造からスタートし、第二次世界大戦中は一般市民とイタリア軍に製品を提供していました。

創業から黄金期へ：ニコラ・トラサルディの時代

1970年、創業者のダンテが急逝した後、事業は甥のニコラ・トラサルディに引き継がれます。ニコラは、妻のマリア・ルイザと共にクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを牽引。時代の変化を捉え、革手袋にとどまらず、財布、ベルト、スーツケースなど、革製品のラインを拡大しました。

この頃、グレイハウンドをモチーフにした新しいロゴが採用され、ブランドのアイコニックなシンボルとして定着します。1980年代に入ると、トラサルディは香水、メンズ・レディスの既製服、そして「Trussardi Jeans」といったカジュアルラインへと事業を多角化。積極的なグローバル展開も開始し、アメリカ市場への進出を果たしました。ニューヨーク、ビバリーヒルズなど主要都市にブティックを展開する一方、百貨店への卸売も開始。ミラノでは、ドゥオーモ広場やスカラ座といった象徴的な場所でファッションショーを開催し、世界的な知名度を高めました。

グローバル展開と日本市場

1990年代には、イタリアと日本を中心に世界中に販売網を広げました。日本市場においては、伊藤忠商事との提携により、"Trussardi Levriero"や"Trussardi Action"といったブランドを展開。約200店舗を展開するなど、大きな成功を収めました。その後、帝人とのパートナーシップを経て、三井物産を日本のパートナーとして迎え入れました。

この時代には、トラサルディストアとT-Storeという2種類のブランドショップを展開。T-Storeでは、ジーンズやスポーツライン、さらには食器やお菓子といった幅広いライフスタイル商品を取り扱いました。ニューヨークへの進出も果たし、売上高は5億3000万ドルに達しました。

世代交代と新たな挑戦

1999年、ニコラの急逝を受け、長男のフランチェスコがブランド会長に就任。しかし、フランチェスコも2003年に急逝し、妹のベアトリス、その後はニコラの妻マリア・ルイザが社長兼CEOを務めました。この間、ブランドはデザインチームやクリエイティブ・ディレクターを刷新し、時代に合わせてブランドイメージを変化させていきました。

ロゴ制定40周年には、アニメーション作家・清水侑子氏による短編アニメーション『スカイウォッチャー』が制作されるなど、様々な取り組みが行われました。

現在

2024年にはミロリオ・グループ傘下となり、新たなステージを迎えています。革手袋メーカーから世界的なファッションブランドへと成長を遂げたトラサルディは、その歴史と伝統を継承しながら、更なる進化を遂げていくことでしょう。

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