トラジマのミーめ

『トラジマのミーめ』

松本零士が手がけた『トラジマのミーめ』は、猫を主人公とした感動的な動物漫画です。この作品では、主人公のトラジマ猫・ミーくんと彼を飼うあつ子一家、さらに彼のノラ猫仲間たちとの心温まる日常が描かれています。

あらすじ

物語は、あつ子が幼いころに始まります。雪の降るクリスマスイブの夜、あつ子の家に小さな子猫が訪れます。物音に気づいたあつ子の父が戸を開けると、二階の手すりにしがみつく小さな虎縞の子猫が現れます。この子猫は寒さに震えながらも、あつ子の家族の温かさに包まれ、自ら名付けられることになります。あつ子の父が「ミー」と呼ぶと、子猫は元気に返事をします。こうしてミーくんはあつ子一家の一員となり、彼らの生活に彩りを加えることになります。

物語は、ミーくんの14年間の冒険や仲間との交流を通じて進んでいきます。最初の話では、あつ子一家との出会いから始まり、ミーくんの成長と彼が出会った様々な猫たちとの物語が展開されます。悲しい結末を迎えるエピソードも多く含まれており、愛猫をモデルにしたミーくんを通じて、愛情や別れの意味について考えさせられます。

登場キャラクター

物語に登場するキャラクターたちは非常に魅力的で、個性豊かな印象を与えています。

• - ミーくん：本作の主人公で、14歳のメス猫。彼女は街のノラ猫たちのアイドルであり、おしゃれで愛らしい姿が印象的です。特にオスに見える虎縞模様が、彼女の名前の由来となっています。
• - あつ子：ミーくんの飼い主であり、小学生の女の子。彼女は素朴で明るい性格をしており、ミーくんとの絆が物語の重要な要素となっています。
• - あつ子の家族：あつ子の父、母、姉などが登場し、彼らの温かな家庭の様子が描かれます。特に、あつ子の父がミーくんに魚を与える場面は、家族の大切さを表現しています。

作品の背景

本作は、松本零士が実際に体験した出来事に基づいています。東京都練馬区の大泉学園町の風景や、新興住宅街の環境が描写されており、街の変化をミーくんの目を通して感じ取ることができます。作中では、町の変化と共に、ミーくんたちの生活も変わっていくという流れが描かれています。

書誌情報

『トラジマのミーめ』は1978年4月に秋田書店より単行本として刊行され、その後文庫版も発行されています。また、アニメーション作品としてもOVAが制作され、短編アニメとして収録されています。

結論

『トラジマのミーめ』は、猫と人間の絆を描いた作品であり、一つ一つのエピソードが心を打ちます。松本零士の筆を通じて描かれる愛らしいミーくんとあつ子の生活は、多くの読者に感動を与えることでしょう。

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