トラッポラ

トラッポラ（Trappola）とは

トラッポラは16世紀初頭にヴェネツィアで生まれた伝統的なトリックテイキングゲームです。このゲームは、時を経て中部ヨーロッパ各地に広がり、様々な地域で異なる名称で知られるようになりました。特に「トラプルカ（Trapulka）」、「ブルカ（Bulka）」、「フンデルトシュピール（Hundertspiel）」といった派生名が存在します。トラッポラで使用するカードは、イタリアの伝統的なスートに基づき、専用のデザインを持つことが特徴です。しかし、トラッポラ専用のカードが作られたという記録は1944年のプラハでのものが最後となっています。

ゲームの背景

トラッポラという名前は、イタリア語で「罠」や「裏切り」を意味し、その派生的には「巧妙さ」というニュアンスを持ちます。19世紀の著述家シンガーによると、トラッポラはおそらくイタリアで知られた最初のトリックテイキングゲームであり、同じく多くの当時の作家たちもその歴史的価値を認めています。とはいえ、トラッポラが文献で初めて登場したのは1524年であり、それ以前に競技された他のトリックテイキングゲームも存在すると言われています。

また、タロットとの関連については議論の余地があります。ガルゾーニはトラッポラを一般的なゲームと位置づけ、タロットは新たに発明されたものと述べています。一方で、ウィリアム・ヒューズ・ウィルシャーは、トラッポラのカードがヴェネツィア起源のタロットカードを改良したものである可能性を指摘しています。

トラッポラは、カルダーノの『さいころあそびについて』（1564）でもヴェネツィアで普及していたことが記されており、流行は16世紀の初頭には非常に高かったとされています。しかし、時が経つにつれ、その人気は次第に薄れていき、軍の移動と共に北方に広がったと考えられています。

現在のトラッポラ

17世紀から19世紀にかけて、トラッポラはニュルンベルク、ライプツィヒからグラーツやブダペストに至る広い範囲で愛好されていました。現在でも、トラッポラの直系の弟子と考えられるストフカフラ（Stovkahra）やブルチコ（Brčko）などがルーマニアのシュミツェ村でプレイされており、トラッポラの名残をとどめています。20世紀には変種のシュパーディ（Špády）やシェスタドヴァツェト（Šestadvacet）がチェコで行われていたこともあります。

カードのデザインとゲームの進行

カードはイタリアタイプのスート、剣・杖・カップ・貨幣を持ち、他に王（R）、騎士（C）、歩兵（F）の絵札があります。この独自の構成のため、トラッポラカードは36枚で、スート内の数はあまり多くなく、特異な形をしています。点数配分もA（6点）、R（5点）、C（4点）、F（3点）と、非常にシンプルであり、それ以外の数字は0点となっています。

トラッポラは基本的に2人用のゲームで、手札は9枚が分配されます。ディーラーでない側は不満のある手札をテーブルに捨てて新しい手札を得ることもできます。このようにして各競技者は戦略を考えながらプレイを進めます。トリックの勝者が次のトリックをリードするため、連続して勝利を重ねることで得点を上げることが鍵となります。

ゲームはトリックを取ることから得点が決まり、特にトリックを2で勝利すると10点を獲得し、最後のトリックの勝者は6点を獲得します。プレイが進むにつれ、各プレイヤーは点数を合計し、300点に達した方が勝者となります。このように、トラッポラは戦略的な思考や運も必要とする奥深いゲームです。

終わりに

トラッポラはその歴史の豊かさと独自のルールから、現代においてもなお多くの人々に親しまれています。昔からの遊びとしての価値だけでなく、戦略的思考を促す貴重な体験を提供するゲームです。

もう一度検索