トラニャロ

トラニャロ（Tôlanaro）

概要

トラニャロは、マダガスカル島南部の主要な港湾都市です。マダガスカル語では「タウランニャロ（Taolagnaro）」とも表記されます。かつてはフランス語で「フォール・ドーファン（Fort Dauphin）」と呼ばれており、この名称も現在でも広く通用しています。行政区分としてはトゥリアラ州に属し、インド洋に面したその立地から、古くから海上交通の要衝として栄えてきました。現代では、マダガスカル南部地域における政治、経済、文化の中心の一つとしての役割を担っています。

歴史

この地における西洋による植民の試みは、17世紀にさかのぼります。1643年、フランス東インド会社がこの地に砦を築き、植民を開始しました。この砦は、当時のフランス皇太子、後のルイ14世にちなんで「フォール・ドーファン（皇太子の砦）」と名付けられました。フランス本国からの一定の支援があり、100名ほどの植民者が送り込まれたものの、現地アンタヌシ族との政治的な対立や熱帯の病気による苦難に見舞われました。最終的に、1674年にはアンタヌシ族による攻撃を受け、フランスは植民地から撤退することを余儀なくされました。

都市機能と主な施設

トラニャロは南部地域の中心都市として、様々な都市機能を備えています。行政機関としては、裁判所や警察署、刑務所などが設置されています。インフラ面では、空路の玄関口となる空港、海上輸送を担う港湾施設、市民のスポーツ活動を支えるスタジアムなどがあります。医療施設としては、病院や薬局が利用可能です。日常生活を支える商業施設としては、食料品を扱うタナンバウ市場や日用品を販売するPrix Uniqueといった個人商店、複数のガソリンスタンド（TOTAL、Jovenna、Galana）があります。金融機関としては、BNI-CL（ATM併設）やBank of Africaが営業しています。通信関連ではAirtelの店舗があります。宿泊施設も充実しており、観光客やビジネス客を受け入れる多くのホテルがあります。

主なホテルには以下のようなものがあります。

ホテル・ル・ドーファン（Hôtel Le Dauphin）
ラ・クロワ・ドゥ・スドゥ・ホテル（La Croix du Sud Hôtel）
タリンジュー・ホテル（Talinjoo Hotel）
ラヴァスア・ホテル（Lavasoa Hotel）
ホテル・カレタ（Hotel Kaleta）
ネペンテス・ホテル（Le Nepenthes）
ホテル・マハヴキ（Hôtel Mahavokey）

また、宗教施設として教会やモスクがあり、ボランティア サザンクロス ジャパン協会のように植林活動などを行うNGOの事務所も置かれています。

交通

市内の移動手段としては、タクシーが便利で広く利用されています。近年は、タクシーに比べて安価な三輪タクシーも増えてきていますが、タクシーの方がより安全であると言われています。市の中心部は徒歩での散策が可能ですが、人通りが少ない海岸沿いのエリアや夜間の一人歩きは避けるなど、安全には十分注意が必要です。

観光

トラニャロは、その美しい自然環境と希少な動植物が生息する周辺地域へのアクセス拠点として、多くの観光客が訪れます。特に、固有種の動植物を観察できるベレンティ私設保護区への玄関口として知られており、市内から車で約2～3時間の距離にあります。その他、近郊には様々な観光スポットが点在しています。

主な観光スポットは以下の通りです。

リバヌナビーチ
ベレンティ私設保護区（市内から車で約2-3時間）
ナハンプアナ保護区
ルカル湾（市内から約30 km）
サヤディ植物園（市内から約7 km）
セントルースの入り江（市内から約45 km）
ポルトガル島（市内から約14 km）
* アヌニ湖（ベレンティ私設保護区から約25 km）

これらの豊かな自然や歴史的な背景を持つスポットへの観光拠点として、トラニャロは重要な役割を果たしています。

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