トラブル・ウィズ・ユー

トラブル・ウィズ・ユー：冤罪と未亡人、そして予期せぬ騒動

2018年、フランスで生まれたコメディ映画『トラブル・ウィズ・ユー』（原題：En liberté!）は、運命の悪戯によって出会ってしまった男女の騒動劇を描いた作品です。監督を務めたのはピエール・サルヴァドーリ、主演はアデル・エネルとピオ・マルマイというフランス映画界を代表する実力派俳優陣が務めています。

物語の中心は、無実の罪で服役していた青年アントワーヌと、彼を冤罪に陥れた警部の未亡人イヴォンヌの出会いから始まります。異なる境遇、そして複雑な過去を背負う2人ですが、予想外の状況下で巻き起こる様々な出来事が、笑いと感動を織り交ぜた物語を展開していきます。

アントワーヌは、かつて不当な逮捕と投獄を経験した青年です。一方、イヴォンヌは、殉職した夫の影を背負いながら、日常を送る未亡人。夫は地元では英雄として称えられています。2人は、それぞれの事情を抱えながらも、次第に互いに惹かれ合い、時に衝突しながらも、複雑な関係を築いていきます。

物語は、軽妙なテンポで進んでいきますが、そこには社会問題や人間関係の複雑さを垣間見ることができる奥深さも持ち合わせています。冤罪、喪失、そして新たな出会いを通して、登場人物たちは成長し、変化していきます。

キャスト陣も本作の魅力を高めています。アデル・エネルとピオ・マルマイの演技は、繊細さとユーモアを巧みに融合させ、観客を惹きつけます。そして、ダミアン・ボナール、ヴァンサン・エルバズ、オドレイ・トトゥなど、実力派俳優たちが脇を固め、物語に深みを与えています。

『トラブル・ウィズ・ユー』は、2018年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、その高い評価は、フランス国内にとどまりませんでした。第44回セザール賞では作品賞を含む9部門でノミネートされ、フランス映画界における高い評価を確固たるものとしました。セザール賞受賞は逃しましたが、その高い評価は批評家の間でも認められています。

アロシネによると、フランスのメディアによる評価は平均して5点満点中4.3点と高い評価を受けています。Rotten Tomatoesでは、13件の評論のうち10件が高評価で、平均点は10点満点中6.6点と、こちらも高い評価を得ています。

日本では、kino festivalでの上映を経て、2021年9月3日にDVDが発売されました。フランス映画特有の洗練されたユーモアと、奥深い人間ドラマが詰まった『トラブル・ウィズ・ユー』は、多くの観客の心を掴む作品と言えるでしょう。フランス映画ファンはもちろんのこと、コメディや人間ドラマが好きな方にも強くおすすめしたい一本です。

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