トラベリング・ウィズアウト・ムービング〜ジャミロクワイと旅に出よう〜

トラベリング・ウィズアウト・ムービング 〜ジャミロクワイと旅に出よう〜

1996年、ジャミロクワイがリリースした3枚目のアルバム『トラベリング・ウィズアウト・ムービング（Travelling Without Moving）』は、音楽史にその名を刻む傑作となりました。

概要

全世界で800万枚、日本国内だけでも140万枚を売り上げた本作は、「世界で最も売れたファンクアルバム」としてギネス世界記録にも認定されています。アルバムには、「ヴァーチャル・インサニティ」や「コズミック・ガール」といった、ジャミロクワイを代表する楽曲が多数収録されており、彼らのキャリアにおいて不動の地位を確立する作品となりました。

アルバムタイトル「Travelling Without Moving（動かずに移動する）」は、ボーカルのジェイ・ケイが、事務所スタッフをフェラーリに乗せて高速走行していた際、スタッフが語った言葉に由来します。「私たちは猛スピードで移動しているが、地球自体が自転・公転しているため、その場に立っている人も高速で移動している」という話から、この言葉がアルバムタイトルに採用されました。このスタッフは、1984年の映画『デューン』に登場する「動かずに移動する」という概念を引用したそうです。映画では、メランジというスパイスを使うことで空間を折り曲げ、移動せずに別の場所へ行くことができるとされています。

アルバムのテーマには、現代社会に対する風刺も込められています。戦争が絶えず、人々が地球環境よりも自己利益を優先する現状に対し、「世界は動いているように見えても、社会や経済は停滞している」というメッセージが込められています。しかし、歌詞の解釈は聴き手に委ねられており、多様な意味を持つことも本作の魅力の一つです。

1997年には、MOBO音楽賞で最優秀アルバム賞を受賞。授賞スピーチでは、白人バンドであるジャミロクワイがブラックミュージックを演奏することへの理解が深まった喜びを語りました。

アルバムリリース前から、ジェイ・ケイは5台のフェラーリを所有しており、キーボードのトビーもフェラーリを所有していました。さらに、1997年のツアー中には、ベースのスチュアートもフェラーリを購入しています。このことからも、彼らの成功ぶりと、音楽に対する情熱が伺えます。

レコーディングは、「Town Houseスタジオ」で行われ、締め切りは1996年6月9日の日曜日でした。アルバムには収録されなかった「Sliding」と「Lost In Love」という楽曲もレコーディングされましたが、後に「コズミック・ガール」のシングルカットの際に、「Slipin' 'N' Slidin'」という新曲として発表されました。この曲が「Sliding」である可能性が高いですが、「Lost In Love」は未発表のままです。

楽曲詳細

ヴァーチャル・インサニティ (Virtual Insanity): ジャミロクワイを代表する一曲。ミュージックビデオも話題になりました。
コズミック・ガール (Cosmic Girl): アップテンポでダンサブルなナンバー。こちらも人気の高い楽曲です。
オールライト (Alright): 軽快なリズムが心地よい一曲。
ハイ・タイムズ (High Times): 爽快なメロディーが特徴。
Didjerama と Didjital Vibrations: ディジュリドゥをフィーチャーした楽曲。過去の楽曲では、最後にディジュリドゥを付け加える形でしたが、本作ではディジュリドゥを中心とした楽器構成になっています。1000年前に誕生したとされるディジュリドゥが、現代の音楽に進化を遂げた様子を表現しています。

収録曲

(収録曲リストは省略)

売上ランキング

(売上ランキングは省略)

受賞歴と売上枚数

全世界売上: 800万枚
日本国内売上: 140万枚
MOBO音楽賞 最優秀アルバム賞 (1997年)

脚注

(脚注は省略)

もう一度検索