トリゲモ

トリゲモ(Najas minor)について

トリゲモは、トチカガミ科イバラモ属に属する一年生の水草です。主に池や湖沼の水中で育ち、その姿は鳥の羽毛のように見えることから、この名前が付けられています。トリゲモは、特にヨーロッパが原産地ですが、世界のさまざまな場所で栽培されており、国内でも北海道の十勝地方以南で確認されています。しかし、日本国内ではその数が減少しており、絶滅の危機に瀕している種とされています。

分布と生態

トリゲモは、沈水性の水草として特徴付けられ、細かく分枝した葉が外側に反り返るような形状をしています。このような葉は、外的要因によって容易にちぎれやすく、その結果、他の場所へ移動することが多くあります。水鳥や船のスクリューなどによって運ばれたり、また水流に乗って分布を広げたりします。これは、トリゲモの生育地域を拡大するための重要な要素です。繁殖は、葉の腋に咲く小さな花から生まれる約3mmの種子によって行われ、その種子は水流によって広がる特性があります。

近似種との違い

トリゲモは、オオトリゲモと非常に似ており、両者の見分けは難しいことが知られています。特に、葉の長さには多くの変異があり、ほとんどの場合では外観からの識別が困難です。ただし、種子表面にある格子状の模様によって区別できる場合もありますが、トリゲモとオオトリゲモの種子は非常に似ているため、この方法だけでは同定が難しいです。確実に識別するためには、雄花の葯室の数を観察することが必要です。葯室が1室であればトリゲモ、4室であればオオトリゲモと判断されます。

利用と課題

トリゲモは、アクアリウムにおいて水槽の植栽として利用されることがあります。しかし、アメリカ合衆国などでは侵略的外来種として捉えられ、水中用除草剤などで駆除されることもあります。このため、環境における保全状況については注意が必要となっています。

保全状況

国際自然保護連合(IUCN)による評価では、トリゲモは「LEAST CONCERN（最小懸念）」とされています。しかしながら、日本の環境省のレッドリストでは、絶滅危惧II類（VU）として指定されているため、保護活動が必要とされています。生息環境の保全や生育地の管理を行うことで、この貴重な水草を守る取り組みが求められています。

関連項目

• - トチカガミ科
• - イバラモ属
• - 水草
• - 侵略的外来種

トリゲモは、外見が美しく、水域の生態系に重要な役割を果たしていますが、その保全には我々の関心と努力が欠かせません。

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